sole & the skyrider band / REMIX ALBUM (Black Canyon) mp3

sole & the skyrider band / REMIX ALBUM (Black Canyon)
http://www.blackcanyonrecords.com/

一応私も一昔前にアンダーグラウンド・ヒップ・ホップがはやった時には、それなりに anticon を追いかけた口ではあるんですが、あまりのリリース量の多さに離れてからは全然分からなくて、 anticon 聴くのも数年ぶりという有様です。

ということで Sole こと Tim Holland と、アリゾナのバンド Skyrider によるアルバムのリミックス盤。ちゃんとパッケージされたCDの方もリリースされているんですが、私が聴いたのは Sole のサイトから落とせるプロモ音源。CDとは曲順が違うようなんだけど、基本的には同じみたいです。まぁ音質は良いとはいえないし、曲中に「これはプロモです」とか「プロモ盤を落としてくれてありがとう」なんてナレーションが入るのが若干うざいんだけど、試聴と考えれば全然問題無しです。

ということで、オリジナルの方は当然未聴なうえに、参加しているリミキサーも同じく anticon の odd nosdam しか知らないんですけれども、全体的にはやっぱりロックっぽいですかね。ここ何年も anticon がヒップ・ホップとロックの境界線上にいるなんて事は、私が説明するまでもないんだろうけど、今作ではドラムを前面に押し出した非常にビート感の強い(分かりやすく云えば縦ノリ)曲が大半で、最近ロックなんてまともに聴いていない私でも、なんとなく現在のロックの動きを、おぼろげながら分かった気になれて、なかなか面白い。
とはいっても、個人的に一番面白かったのは、曲の途中で唐突に四つ打ちのエレクトロになる pictureplane によるリミックスなんだけど。

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DABO / I’M THE BEST (EMI) 3CD

DABO / I'M THE BEST (EMI)
http://ameblo.jp/dabo-blog/

デビュー10周年を記念して3枚組みのベスト盤。

今まで発表した5枚のアルバムから、発表順を考えずにランダムに曲が並べられた本作を聴いて思うのは、デビュー時から現在まで変わらない、ラッパーとしての圧倒的な技術力と完成度の高さ。トラックの出来不出来にかかわらず、自身のラップを乗せることによって、曲をある程度の水準までは必ず引き上げるその力は、改めてすごいと思った次第。

でもその代わりというわけでもないけれど、この人はスタイルにあまり変化がないというか(まぁ元が幅広いからいいんだけど)、最初ッから完成され過ぎているが故の物足りなさが、やっぱりちょっとあるんだよね。

でも聴く前は明らかに多いと思えた3枚組みというボリュームも、実際聴いてみればそれほど気にならないので、このベストに関しては物足りなさはほとんどないかな。3枚目の外仕事を DJ HAZIME がミックスした盤も、実にスムーズに繋がっていて子気味良い。

そういえば “BROTHERHOOD” のアナログかったはずなんだけど、あれは今どこにあるんだろう・・・。

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いきものがかり / My song Your song (SME) CD

いきものがかり / My song Your song (SME)
http://www.ikimonogakari.com/

私はつい最近までこのバンドの名前を「いきものがたり」だと思っていた人間なので、当然この人たちについてはよく知らないのだけれど、けっこうな人気者なようなので聴いてみた。

でもねぇ、結論から書いてしまうと、これは久々にかなりきつかったですね。

時代性などというものを全然感じさせない素朴な曲を、素朴なアレンジと素朴な演奏で聴かせる、素朴な人たちといった趣で、ちょっと昔の歌謡曲みたい。しかし歌謡曲みたいに情念みたいなものがこもっているかというとそんなこともなく、むしろ情感もほとんどなくすごく軽い。そうなってくると、昔のアイドル歌謡に近いのかなと思えなくもないんだけど、当然あんなにキャピキャピしてないし。

聴いている時の印象はそれほど悪いものでもないんだけど、聴いた感想としては良いものは一個も出てこないんだよね。それは若いのに小さくまとまり過ぎとか、全てが手垢にまみれ過ぎているとか、他にも色々と理由はあるんだけど、一番気になるのはこのアルバムを聴いていても、この人たちが何で音楽やってるのか全く伝わってこないんだよね。だかたこちらにも引っかかるものが一切ないし。

まぁメロディ自体は悪くないので、案外聴き込んでいるうちにポッとはまっちゃうこともあるのかもしれないし、実際にそうやって好きになった人たちも沢山いるのだが、生憎今の私にはいきものがかりの為に割く時間はそれほどないのです。なので当分聴かなくていいや。

あと蛇足ながら、今感じ変換してて始めて気がついたんだけど、いきものがかりって「生き物係」ってことなのかしら。私は「神懸り」とかの「がかり」なんだと思ってた。

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CHERRYBOY FUNCTION / SOMETHING ELECTRONIC (ExT) CD

CHERRYBOY FUNCTION / SOMETHING ELECTRONIC (ExT)
http://www.extrecordings.com/

もう1枚 ExT Recordings からの作品で、 CHERRYBOY FUNCTION の2007年リリースの初アルバム。

全体の感じとしてはデトロイトを思わせるテクノなんだけど、音の質感としては最近のエレクトロに近いドンシャリした感じもあり、でも今のテック・ハウスっぽい感じも自然に取り入れられていて、それでも総体としてはポップという、まぁ簡単に云えば非常にバランスのいい作品。
しかしその手の作品によくある器用貧乏的に思える部分がほとんどないのは、頭で考えて作ったというよりは、気分の赴くままに作ったらこうなっととでもいうような、自然な佇まいが作品から感じられるからですかね。
まぁその分突出した曲が見当たらないというのも事実だとは思うけど、それでも作品の質としては十分。

この人ももうすぐセカンド・アルバムが出るようなので、そこでの飛躍を楽しみにしたいところです。

CHERRYBOY FUNCTION - SOMETHING ELECTRONIC

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やけのはら / ExT Recordings 1st Anniversary Master MIX (ExT) CD

やけのはら / ExT Recordings 1st Anniversary Master MIX (ExT)
http://www.extrecordings.com/

相も変わらず昨年の。

その名の通り ExT Recordings のレーベル1周年を記念したミックスCD。ミックスしてるのはやけのはらという人で、三色混合、じゃなかった、アルファベッツのラッパーなんだけど(まだグループ存在してるのかな?)最近はむしろDJであったりトラック・メイカーとして注目を集めているお方です。

最初やけのはらがエディットもやっているということだったので、どれだけ原曲と変わっているのかと楽しみにしていたんだけど、いじっているというほど変わった曲はないですね。まぁその分このレーベルらしさがよく伝わる、とてもキラキラしたミックスになっていて、レーベルらしさを伝えるという意味では成功しているミックスなんじゃないでしょうか。
まぁその分作品としての面白みには欠けるんだけど、このレーベルのポップであることを全く恐れない姿勢というのは、聴いていて非常に清々しい。

あと最近レーベル自体の動きがあまりなかったように思っていたんだけど、レーベルのサイト見ると、これから色々な人のアルバム・リリースが控えているようですね。特に露骨キットは楽しみだ。

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LP2枚、12インチ5枚

STL / SOMETHING08
HAUNTOLOGISTS / EP 1
TVO – THE DARK IS RISING
From Karaoke to Stardom / Empty the bottle of me
SOULPHICTION / UNDERGROUND RAILROAD
PAUL RITCH / EVIL LAFF EP
2000 AND ONE / HERITAGE

これでも我慢したんだよ。

Jay Haze / Love & Beyond (Tuning Spork) mp3

Jay Haze / Love & Beyond
http://www.tuningspork.com/

これまた昨年出た Jay Haze の2枚目のアルバム。

発売前の話だと、従来のミニマル・ハウス路線の曲を集めたアナログ、 R&B の歌モノとインスト・ヒップ・ホップの盤を2枚組みにしたCDが出る予定だったんだけど、発売されてみれば、なぜかアナログもCDも普通に四つ打ち。これはどうしたことかと思っていたら、その数ヵ月後に R&B の盤が、さらに昨年末にインストのほうが Jay Haze のサイトでフリー・ダウンロードという形で発表された、というよく分からない経緯ながら、とりあえず3パターン揃ってよかったねという感じの作品です。

これは何回も書いていることなんだけど、 Jay Haze って比較的ねっとりとしたグルーヴの曲を作ることが多かった人なんだけど、今作の1枚目も Desolat からのシングル(過去記事)がそうであったように、非常にスッキリとした音作りがなされていて、さらにあまり余計なものを足さないざっくりとしたトラックになっている為、一聴するとかなりシンプル。しかしそれがゆえに Jay Haze のグルーヴを作り出す手腕の巧みさがよく分かる。個人的に Jay Haze 絡みでは Bearback と並んで聴きやすかったかしら。

一方 R&B 盤の方は、彼らしいねっとりとしたグルーヴが堪能できる。一応 R&B に挑戦しているとはいえ、トラックがサンプリング・ベースになったとかいうことはもちろんなく、エレクトリックな音作りには間違いないんだけど、最近の R&B やヒップ・ホップの方も随分エレクトリックな音色のものが多くなってきたので、それほど違和感なく聴ける。というか予想以上に良いです。これは歌モノということで割り切って、必要以上にトラックを前面に出さなかったのが功を奏してますね。

そして残りもう1枚は実験的なインスト・ブレイクビーツを収録した盤。これは正直いらなかったかな。ちょっとガス抜き以上の意味を見出せなかったです。

まぁでも最初の2枚が良かったので、総体としてはけっこう満足。特に R&B 盤の方は、普段ブラック・ミュージック中心に聴いている人の意見が聞いてみたくなります。

1枚目試聴
2,3枚目ダウンロード

Peace Division / Three Corners EP (8bit) mp3

Peace Division / Three Corners EP (8bit)
http://www.8bit-records.de/

けっこうトランスやプログレッシブ・ハウスからミニマルに流れた人というのは多いですが、この Clive Henry と Justin Drake による Peace Division もそんなユニット。今作は話題のレーベル 8bit から。

なんて書いてみたものの実は 8bit って、つい最近までチップチューンのレーベルだと思っていたので(こんな名前じゃそう思いますよねぇ)、詳しく知らないんだけど、わりと最近のパーカッシブ系のものが多いみたいですね。

ということで今作も1曲目の “Hold It” なんかはパーカッシブ・ミニマル。
しかしよくあるたてノリでどんどん進んでいく感じのものではなく、ゆったりとしたグルーヴの中、パーカッションが左右に振れる感じがかなり気持ちいいテック・ミニマル。
残りの2曲も突出した個性こそないものの、きちんと時代に目配せが出来た完成度の高いテック・ミニマルで、ベテランらしい技術力の高さが窺える。

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CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD / RECOMPOSED New Mixes By Ricardo Villalobos & Carl Craig (Universal) 12″

CARL CRAIG & MORITZ VON OSWALD / RECOMPOSED New Mixes By Ricardo Villalobos & Carl Craig (Universal)

昨年出た Moritz Von Oswald と Carl Craig がカラヤンの曲を再構築した盤のリミックス盤。

Moritz と Carl Craig と Villalobos といえば、数年前の Rhythm & Sound のリミックスで、まぁ一応絡んでるといえなくもないんだけど、わりと今回のは、それぞれあのリミックス盤での自分の仕事のアップデートといった感じ。

まぁ私は例によってオリジナルの方は放置してほとんど聴いたない状態なので、原曲とは比べることは出来ないんだけど、 Carl Craig は今回もオリジナルをダブ・テックに料理しているんだけど、音使いが独特なのと、デトロイトっぽいコズミックな感覚がはっていて、非常にカッコよい。

しかし今回軍配を上げたいのは Villalobos で、初期のねっちこいリズムと、最近のドラム使いを融合させた今作のリミックスは、ダンサブルという点では Carl Craig に譲るものの、リズムのしなりが非常に素晴らしく、まだまだ Villalobos ののりしろを感じさせてくれる。

このリミックス盤は続かんのかのぉ~。

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V.A. / Tempa Allstars Vol:05 (TEMPA) 2LP

V.A. / Tempa Allstars Vol:05 (TEMPA)
http://www.tempa.co.uk/

ちょっといっぱいというほどの数にはならないなぁ、と言い訳してみたり。

その名の通り TEMPA のコンピレーションの第5弾。

ダブステップが今すごい速さで進化、拡散しているというのは、私が今更書くことでもないんですが、今作もレーベル・コンピという枠に収まらずに、様々なタイプのダブ・ステップが納められている。

中でも一番面白かったのは、 Pinch の “Motion Sickness” で、比較的オーソドックスなダブ・トラックの上で、パルス音のような上モノが痙攣でもするかのように細かになる曲で、その上モノが生み出す浮遊感が非常に中毒度が高い。さらにその上モノがだんだんピアニカみたいに聴こえてくるのも面白い。

他にもタイトなリズムと扇情的なシンセで盛り上げる Seven 、今回も2ステップっぽいダブ・ステップながら非常にダンサブルな TRG 、最近のレイブっぽいノリとは違い、シンプルなトラックながら、ゆえに彼の音作りの上手さが感じられる Skream 、洗練された音使いでポップに仕上げた Luke.Envoy 、どんどんと沈み込んでいくようなディープなダブステップの Ramadanman と、どれも方向性はバラバラながら水準はきわめて高い。

冒頭の繰り返しになるけれど、現在のダブステップを俯瞰してみれるという意味でも、非常に秀逸なコンピです。