V.A. / “YUKICHI DE PYRAMID” (Yukichi) CD

V.A. /
http://www.sdp-228.com/

『CONCRETE GREEN』シリーズに続く、 DJ ISSO による新しいミックス・シリーズ、みたいな触れ込みだったわりに、1枚出ただけで一向に続きが出る気配のない、昨年発売の SDP 関連の音源を集めたミックスCD。

SD JUNKSTA ってグループはともかくとして、ソロになると各自好き放題でバラバラの方向性になることが多く(まぁそうじゃなきゃソロ出す意味ないか)、今作に納められた曲にもあまり統一感は感じられないものの、それでもバラバラな印象を与えず、きちんと流れを作ったうえで多様性を示しているところに、 DJ ISSO という人の編集者としての非凡さを感じる。

収録曲に関しては、既発曲とリミックスがほとんどなので、特に書くこともないんだけど、おそらく今作で初出と思われる WAX の “雨のち曇りのち明日” は別で、いつもは勢いで押すことの多い WAX と田我流の憂いを含んだラップと、逆に少し突き放した感じの BRON-K によるフックが素晴らしく、この曲のためだけでも今作は聴く価値がある。

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GummiHz / Sleepless Nights (Mobilee) mp3

GummiHz / Sleepless Nights (Mobilee)
http://mobilee-records.de/

確かあれは1年位前だったか、「ミニマルのディープ・ハウス化」なんて事がよく云われておりまして(もうちょっと前だっけ?)、そのときよく名前が挙がっていたのがこのドイツのレーベル Mobilee Records だったんですが、私からすると Mobilee っていうといかにもミニマルな暗黒ビートを鳴らす代表レーベル、みたな印象が強かったので、その意見に関しては当時かなり疑問でした。
しかし Mobilee の配信のみのリリースとなる Gummihz こと Alexander Tsotsos のアルバムは、「ミニマルのディープ・ハウス化」なんて通り越し、まんまハウスになっていて軽く驚く。

以前彼の音源を Mobilee のコンピで聴いたときは、このレーベルらしいディープ・ミニマルだったのだけれど、今作では1曲目の “Love Call” から王道感のある歌モノで、続く “Sunshine Dub” もストリングスと上モノの感じがニューヨーク・ハウスっぽい。これ以降もテクノらしい硬い音はあまり使われず、その柔らかさはハウス的な印象を強めている。

しかし今作がまんまハウスなのかというとそんなこともなく、ベースよりもキックがグルーヴを形作ってるところなどはテクノの語法を感じるし(単純すぎますか)、そのキックの音もそれほど重くないので、こちらに何かを強要する感じがないのも聴きやすくて良い。

どっちつかずと云ってしまえばそれまでだが、ダンス・ミュージック好きならどんなタイプの人でも聴きやすい作品かと。

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RYTHEM / ぎゅっとして feat. 常田真太郎 (from スキマスイッチ) (SMA) CD

RYTHEM / ぎゅっとして feat. 常田真太郎 (from スキマスイッチ) (SMA)
http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/RYTHEM/

YUI と YUKA の2人組、 RYTHEM の16枚目のシングル。

表題曲のほうはスキマスイッチの常田真太郎(アフロだった方)が参加したラブ・ソング。私はスキマスイッチってデビュー曲くらいしかちゃんと聴いたことあるのがないので、これが常田真太郎の影響なのか分からないのだけれど、この曲は彼女らにしては珍しくソウル・ポップ。
ブラスの効いたアレンジなんかは悪くないと思うんだけど、この曲はちょっとメロディが弱すぎますかね。しかも彼女達のヴォーカル自体それほど押しの強いものではないので、余計地味に思えてしまう。あとそれぞれが単独で歌うパートが多いのも個人的には残念。

これだったらカップリングの “TOMATO” の、弾けるようなポップスの方が、いつも通りといえばいつも通りながら、やっぱり良いですかねぇ。私は彼女達が楽しそうに歌って声を重ねてくれれば、もうそれだけで満足、って聴き手なので、よけいそう思います。

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NITRO MICROPHONE UNDERGROUND / NITRO X 99-09 (COLOMBIA MUSIC ENTERTAIMENT) 2CD

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND / NITRO X 99-09 (COLOMBIA MUSIC ENTERTAIMENT)
http://www.nitrich.com/

活動10周年となるニトロのベスト・アルバム。

まだアルバム3枚しか出してないのにもうベスト、しかも限定盤だと2枚組みですか、っていうのはなくはないんだけど、いかにもニトロって感じの曲を押さえつつも、結構みょうちくりんな曲も選ばれていて、彼らの王道感と、同時にこのグループの破茶滅茶な部分も分かる、なかなか良い選曲なんじゃないでしょうか。中でも “LIVE ’99” をリアレンジシた “LIVE ’09” は、バックを生演奏にしたことによって、彼らに如何にまとまりのないグループかがよく分かる珍曲で面白い。

あとの部分に関しては、まぁベスト盤なんでそれほど書きたいこともないので、どうでもいい事をつらつらと書いてみたいと思います。

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角田晃広 + 大竹マネージャー / 若者たちへ (Universal) CD

角田晃広 + 大竹マネージャー / 若者たちへ (Universal)
http://www.universal-music.co.jp/kakuta_akihiro/

「キング・オブ・コント」に優勝したり誰かさんに怒られたりと、最近何かと話題の東京03のメンバー、角田晃広とそのマネージャによるユニットのデビュー・シングル。

そもそもこのユニットは「ゴッドタン」という番組の「マジ歌選手権」というコーナーから派生したもので、音楽性の部分をそれほどおろそかにしていな、というのはあるにしても、まぁ基本はお笑いのための歌なわけですね。

実際今作も、1曲目の “若者たちへ” は長渕剛、2曲目の “疾走” は佐野元春を下敷きにしたような曲になっていて、冒頭こそメッセージ・ソングの振りして始まるものの、曲が進むにつれて見事なまでにメッセージが矮小化していく。 “若者たちへ” は最初、最近の荒んだ若者たちへのメッセージなのかと思わせつつ、いつの間にかそんな若者たちが怖いと言い、それが転じて挙句の果てには「もっと高齢化社会」と言い出す始末。”疾走” も結局「デートのときなんで男が金を払うんだ」という事しか言っていない。

では今作が、単なる企画もののコミック・ソングなのかというと、そんなことなく、私には非常に魅力的に映る。

以前 COPPU という女性ラッパーがデビューしたとき、その宣伝文句が「普通の女の子による等身大のラップ」みたいなのだったんだけど、実際たいした内容のラップじゃなくてがっかりだった、っていうのは以前記事に書いたんですが、じゃぁどういうのを期待していたかというと、 RUMI の “CAT Fight!!” みたいな、それこそ合コンとかのぶっちゃけた部分が聴きたかったわけですよ。

で、今作で歌われていることは、確かに矮小でみみっちい事なのかもしれないけれど、それと同時に、多くの男性が思っているであろうことでもあって、こういう歌って、たくさんありそうで意外にないんですよね。最近の J-POP とかって身近なことを歌っているようにいわれるけれど、そういうのって大抵最終的には人生とか未来とか、大きいところに話を持っていくでしょ。まぁ人生も未来も大事なのは間違いないんだけど、そういうのってもっと細かい日常の感情が積み重なってあっての事なのだから、それを日常に部分で止めた歌がもっとあってもいいのではないでしょうか。

しかし実際そういう歌を歌おうと思ったら、どうってことない事を魅力的に聴かせるセンスが必要になるし、大体そういうのがかっこいいのか、っていうのもあって、今作はお笑いだから出来たというの部分も大きいんでしょう。だから音楽性と笑いを両立させたこのシングルは、そういった意味でバランスが良いのだろうし、特に表題曲よりも笑いの要素を減らした “疾走” の、メッセージ・ソングっぽい言い回しをそこかしこに散りばめながらも、その全てが「何で男が払うんだ」という部分に帰結する歌詞はかなり秀逸。

まぁ惜しむらくは、その風貌からは想像もつかないテクニックで楽器を弾く大竹マネージャーの面白さがイマイチ生かされていないことで、これは音だけだとしょうがないんですかね。もし次回があるのなら、今度はビデオ・シングルにしてほしいところです。

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Millie & Andrea / Temper Tantrum & Vigilance (Daphne) mp3

Millie & Andrea / Temper Tantrum & Vigilance (Daphne)
http://www.modern-love.co.uk/

Modern Love のサブ・レーベルからのシングル。

このレーベルって日本にほとんど入ってきてないみたいで情報が全然なくって、さらにこのアーティストことも知らないので基本的な情報は何も書けないのですが、曲のほうは2曲ともドラムの手数が多いダブ・ステップ。

ということで、必然的にドラムン・ベースに近いトラックにはなっているんだけど、基本前のめりなドラムン・ベースに比べ、ダブ・ステップらしいタメのあるリズムなので、こちらの方が重量感があり、それと同時にリズムがよく動くのでダンサブル。
あと Modern Love 系列ということが関係しているのか、上モノがミニマル・ダブの語法を感じさせる広がりのある音響構築になっていて、それもまた心地良い。

傑作です。

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Cooly G / Narst (Hyperdub) mp3

Cooly G / Narst (Hyperdub)
http://www.hyperdub.net/

もうすぐレーベルの5周年記念コンピが出る Hyperdub から女性プロデューサーのデビュー・シングル。

Hyperdub といえばダブ・ステップの中心レーベルなわけですが、時代への目配せも忘れずファンキー(グライムを四つ打ちにしたようなの)なんかもリリースしておりまして、今作もその流れにあると思われる四つ打ちの曲。
しかしリズム・マシーンによる簡素なドラムや、ヒャカヒャカいうストリングスなんかはむしろガラージに近い感じで、悪くはないものの、個人的にはもう少し練りこんでほしかったかしら。

裏に2バージョン入ってる “love dub” という曲は、曲名どおりの非常にメロウなトラック。リズム自体はダブ・ステップっぽいものの、全体の雰囲気としてはほとんどディープ・ハウスで、女性ヴォーカルが乗っていることもあって NAKED MUSIC みたい。それでいてゆったりとしたベース・ラインと軽めのパーカッションの絡みが心地良く、私はこっちのが好きですね。

Cooly G - Narst / Love Dub

NATURAL NINE NATION / 親不孝三十六房 (Natural 9 Nation) CD

NATURAL NINE NATION / 親不孝三十六房 (Natural 9 Nation)
http://plaza.rakuten.co.jp/NATURAL9NATION

いい加減に何か書かないとまずいかなぁ、ということで、福岡の Natural 9 Nation のファースト・アルバム。

今作に関しては、今年上半期のベスト(過去記事)に挙げたことからも分かるように、非常に好きな作品であることは間違いないのだけれど、では色々と書きたいことがあるかというと特になくて、記事書くのを避けていた部分もあったんですね。

というのも、このアルバム全体から受ける印象というのは先行シングルだった『親不孝三十六房』(過去記事、タイトル同じなんで紛らわしいね)とほとんど印象が分からないのですよ。

サンプリング主体の、タメの効いたファンクネス溢れるトラックと、それぞれが個性的なラッパーと、聴き所満載のリリックと、ていう3つが当たり前のように高水準で。しかもそれが頑張っている風ではなくあくまで余裕、というより全体の雰囲気はむしろだらしない。それでいて確かな技術に裏打ちされた安定感があって、ってやっぱり前の記事の繰り返しみたいになってしまったのですが、それでも何度聴いてもカッコいい。
あと音楽性自体は非常にオールド・スクールというか、独自発展してきた日本のヒップ・ホップにあって逆に珍しいくらいヒップ・ホップ然としているんだけど、それとは裏腹に、 “Funky Lesson” で WHATSMAN が「社会人ヒップ・ホップ」というように、そこかしこに大人の落ち着きみたいなものを感じるのも面白い。

ということで、書くことないんで何とも苦しい感じの文章になってしまったのですが、心から好きなものはその理由なんか挙げられない、というよくある言い回しで逃げてしまおう。
まぁとりあえず、ヒップ・ホップ好きな方なら聴いてみて損はないかと。

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