なんでこんなに音軽いんだろう・・・。
Oasis / (What’s The Story) Morning Glory? (Big Brother) 3CD
テストも兼ねて、下書きだけで放置してたの2。
基本的な音楽的志向として今の音楽を今聴きたい人間なので、旧譜はもちろんの事、再発モノもほとんど買ったりしない人間なんですが、そんな私でもこれはスルー出来なかった(まぁ安かったからだけど)。ということで、未だ再結成を望む声が絶えない oasis の、1995年に出したセカンド・アルバムのリマスター。
まぁ中身については今更書く事もないというか、思い出補正がかかっているにしても良い曲が多く、この時期の oasis の勢いを改めて感じさせる。またそれはカップリングなどを集めた2枚目でも変わりなく、むしろ色んなタイプの曲が収録されているこちらの方がいいくらいで、そういえば当時はシングルもこまめに集めていた事を思い出す。今聴いても “Rockin’ Chair” は名曲。
3枚目のライブ音源に関しては、基本大味の音源がさらに大雑把になっているので、それほど惹かれるものがないんだけど、お兄ちゃんが歌う “She’s Electric” のデモ音源は、シンプルながらも軽快なアコースティック・ギターが曲に合っていて、むしろオリジナルより好きかも。
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Our Love Will Destroy The World / Thousands Raised To The Sixth (Handmade Birds) 2CD
今度こそ本当に気分を変えて、ニュージーランドの Campbell Kneale さんのノイズ/音響ユニット Our Love Will Destroy The World (こういってはなんだが中二臭いユニット名だね)が2012年に出したアルバム。
この手の作品って暴力的なノイズの洪水で圧倒するみたいなものを想像してしまうのですが、ギターノイズとパーカッションがゆらゆらと絡み合う “Calculate Unknown Angels” 、ノイズの向こうで鳴るシンセが不思議な軽妙さを与えている “Zine Boredom” 、四つ打ちのキックの入ってくる “Ships Of China” 、ノイズとピアノで荒廃した世界観を描く “Cloud Water Assembly” など、意外に曲のスタイルは幅広い。
またレーベルが変てこなメタルをリリースする事の多い Handmade Birds だからなのか、それとも元々この人のもっている世界観なのかは分からないけれど、ブラック・メタルにも通ずる荒涼とした雰囲気も自分には好みだし、ミニマル・ダブ的な音響感覚があるのも面白い。
まぁいちいち曲が長いのもあって(2枚組みで12曲)、お世辞にも聴きやすいとはいえない盤ですが、最近の Modern Love とか好きなら意外にいけるかも。
DropxLife., Clams Casino, Omari Shakir., The Weeknd
また Weeknd 関連のものをまとめていくつか。
『DropxLife. / Furthur.』
The Weeknd って元々 The Noise というプロデュース・ユニットで活動していたらしい、っていうのは以前書いたと思うんですが(過去記事)、なもんだから私はてっきり自身のトラックも全部自分で作っているものと思い込んでいました。
でも実際はそんなことなかったみたいで、何人かのプロデューサが参加していたみたいですね。
っつうことで『Echoes Of Silence』収録の “Initiation” のプロデューサーだという DropxLife. のミックステープ。
この DropxLife. というアーティスト、 Weeknd 周辺の人みたいなんだけど、その正体は今のところ謎みたい。
さらにこの作品のリリースの仕方もよく分からなくて、昨年末に3曲入りで出たものに曲足して6曲入りで今年出したと思ったら、次は9曲入りで出て、この度出た10曲入りのものが完全版らしい。
“Initiation” ってどんどんヴォーカルが変調していくけっこう実験的な曲だったので、今作も実験的なのかと思ったらそんなこともなく、新味というのは薄い。
でもヒップホップとダブステップとアブストラクトが溶け合ったようなビートと、徐々に沈みこむような音世界は心地よく、 Weeknd に通ずる雰囲気にはやはり抗えない。あと Weeknd のような高い緊張感がないのと、なんだかんだで1曲に1つは耳に引っかかりやすい要素が入っているので、インストでありながらも Weeknd よりある意味聴きやすいかも。
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『DROPXLIFE / ALLXLEGENDS』
んでこちらは DropxLife が昨年秋に出したミックステープ。
全体の雰囲気としては『Furthur.』とそれほどかわらないものの、ビートはこちらの方がシンプルで、こちらの方が幾分ポップ。なのでこちらから聴いた方が入りやすいかも(まぁ暗いのには変わりないんだけど)。
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『Clams Casino / Instrumental Mixtape』
こちらは『Echoes Of Silence』収録の “The Fall” をプロデュースした Clams Casino が、今まで他のアーティストに提供したトラックを中心にまとめたミックステープ。
今作に関しては Weeknd 関係なしに非常に評価の高い作品なんだけど、太いベースラインと重たいドラム、粒子の細かい幻想的な上モノの組み合わせは確かに気持ちがよい。あからさまにキャッチーな要素がなくてもきちんとポップなのも素晴らしい。
まぁ時折、これってポストロックに接近してたころの anticon の焼き直しじゃねぇの、って思う部分がなくもないんだけど、気持ちがいいのに変わりはないので気にするのはやめておきましょう。
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『Omari Shakir. / Different.』『OMARI SHAKIR / NONCHALANT』
最近知ったんだけど Weeknd 周辺には彼を含む XO Gang というクルーが存在するらしく、そこに参加しているラッパーさんが出しているのが上2曲(もう1曲 “Like A Book” 曲もあるんだけどジャケットないので割愛)。
三味線(?)をサンプリングした “Different.” (DropxLife プロデュース)はかっこいいし、Omari Shakir の低い声でのラップも魅力的なんだけど、ちょっとこれだけだとラッパーとしての個性までは分からないですかね。
あと両曲とも iTunes に入れるとアルバム名のところに『TIL WE OVERDOSE』って出るので、もうすぐアルバムが出るのかも。
Different. ダウンロード
NONCHALANT ダウンロード
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otzim lee / dub dubom ep (SCHALL) mp3
http://www.schall-netlabel.com/
ロシア出身のアーティスト otzim lee による4枚目となるフリーダウンロードの6曲入りミニ・アルバム。
今作に関してはジャケットのぼやけた写真と、それを包み込む圧倒的な青の美しさにまず目を奪われるが、音のほうもそのイメージのままのチリチリとした音像のミニマル・ダブ。
しかしその霧中のような音像の中でも、まるで前に進むべき道を指し示すかのようにしっかりとした音のキックが鳴っていて、その二つの音響感覚が素晴らしく、またキックの音が画一的なミニマル・ダブが多い中、曲によってかなり工夫が凝らされているのにはエレクトロニカ的なセンスが感じられ、それが曲の豊かさにもつながっている。
今年聴いたフリーの音源の中でも指折りの傑作。
oddisee / Odd Winter
http://oddiseemusic.blogspot.com/
A Touch Of Jazz のトラックメイカー、 oddisee の今年頭に出たフリーダウンロードのアルバム。どうも季節をテーマにした連作のようで、これはタイトル通り冬(ちなみに最近春が出たので四季全部そろった)。
私はこの oddisee という人はおろか、 A Touch Of Jazz の音もろくに聴いた事がなかったりするんですが、とりあえずここに収められた曲群は、サンプリングによる落ち着いた雰囲気のヒップホップが中心で、当然のように革新性などは感じられないものの、その分打ち込みのトラックにはあまりない心地よさも感じられて、今の私にはこういう音のほうが聴きやすい。かと思えば柔らかい音が印象的なエレクトロニカっぽい “Frostbit” みたいな曲もあって、意外なほど曲に幅があって楽しい。
オススメ!
Okadada / D is for DANCE (Maltine) MP3
http://maltinerecords.cs8.biz/
昨年のクリスマスイブに Ustream でDJを流して 2000 view 以上を叩き出して話題になった okadada さんが今年の初めに出したミニ・アルバム。リリースは最近 Dommune にしたりとこれまた話題の Maltine Records 。
以前茶箱だかでのDJを Ustream で聴いたときにはディスコっぽい感じで自分の趣味とは違ったのでほとんど聴かなかったんだけど、今作もディスコっぽいのは同様。でも音自体はあくまでエレクトリックなものなので、感じとしては ExT Recordings に近いものがあり、こういうのであれば私も聴きやすい。
中でも、多分 ECD の声をサンプリングしていると思われる “intro(F.A.L.D.)” 、ファンキーなギターのサンプルが心地よい “D is for DANCE” 、笑い声のサンプルとパーカッションの絡みが面白い “D**** Of The Dead” などは特に印象的で、今まで天邪鬼気取って okadada さんを避けていた部分がなくもないんだけど、こういうのであればまた聴いてみたい。
OUTRAGE / OUTRAGE (Victor) CD
もうすぐ活動歴20年になるメタルバンドが昨年出した10枚目のアルバム。
私が OUTRAGE の音楽を聴くようになった時期というのは、ちょうど彼らが当時モダン・ヘビネスと呼ばれていた、ようは当時のメタルの枠に収まらないようなへヴィ・ミュージックを取り入れていた時期なんだけど、今作は97年に脱退していた橋本直樹が久しぶりに復帰してのアルバムということで、びっくりするぐらい直球のスラッシュ・メタルが多く収められている。
なので音楽的な新しさは皆無、というよりもずいぶん手垢にまみれたようなパターンも目立つのだが、当人たちがそんなこと気にせず思いっきりよく演奏しているせいか、曲自体には端々さが感じられ、それほど古臭さはない。
まぁ以前のへヴィ・ロック路線や、また橋本直樹脱退時のストーナー路線を経てこれかよ、っていうのはあるんだけど、復帰第一弾ゆえの原点回帰、と考えればこれもありなのかな。まぁ次に期待しましょう。
OJIBAH / 海賊盤 (YUKICHI) CD
SDP 所属の OHIBAH の音源を DJ ISSO が繋いだミックスCD。
SD JUNKSTA っていいますと、シーン随一の技巧派ともいわれる NORIKIYO がいますが、他方では BRON-K 、 TKC 、 KYN 、 WAX と、どちらかというと個性で押していくタイプのMCが多いという印象があるのですが(別に技術がないという意味ではない)、この OJIBAH はスキル自体は特別秀でているとは思わないものの、フロウがなかなか多彩で、どんなタイプのトラックにも器用に合わせてくるし、しかも案外歌も悪くないので聴いてて飽きさせない。
中でも低い声でのラップが多い中、素っ頓狂な声での歌うようなフロウの “純血” は、この盤に先んじて収録されていた『LOST SHIT』(過去記事)でも目立っていたけど、今作でも異彩を放っていて面白い(”MEMORYZ” も収録したらよかったのに)。
まぁ今作の時点では、多彩なフロウも器用貧乏な印象を与えている感は無きにしも非ずなんだけど、今作の多くは過去の音源だし、 SD JUNKSTA のアルバム(過去記事)では技術的にもしっかりと成長したところをみせてくれていたので、今年中に出ると思われるアルバムは、結構期待できるのではないかしら。
Oqto / Bass, Space & Beatz (Steppin’ Ahead) CD
http://steppinahead.blogspot.com/
イギリス、アメリカのダブ・ステップに続いて、日本初のダブ・ステップ専門レーベルである Steppin’ Ahead からの第1弾アーティスト oqto が昨年12月に発表したアルバム。
この前に紹介した 6Blocc のアルバム(過去記事)がそうであったように、この作品もダブ・ステップの持つダブの要素よりもビート感を抽出したような作風で、それゆえリズム的にはけっこう雑多だったりするのだが、ダブ・ステップのスタイルをなぞったような曲よりは、このアルバムのジャケットの如く色々な要素を盛り込みすぎてダブ・ステップから離れたような曲の方が面白い。中でもひしゃげたリズムの上でぶっ壊れたサンプルが現れては消える “Priest#4” と、重量感のある変則的なブレイクビーツが高い緊張感を放つ9分近い大曲 “Aloma Saloma” は特に秀逸。
惜しむらくは何曲か音圧的に物足りない曲があることで、まぁこれは日本産のものにはよく付きまとう問題ではあるものの、ダブ・ステップという音楽ではそれが余計に響く気がする。
しかしそれを含めたとしても、全体としては聴き応えのある充実した作品だ。