ZUM GOLDENEN SCHWARM / DIE WOLKE (Giegling) 12″

ZUM GOLDENEN SCHWARM / DIE WOLKE (Giegling)
http://giegling.net/

2012年を振り返ろうにも聴けてない盤が多すぎて、どうしたものかと途方にくれているこの頃です。

ベルリンのレーベルから2012年に発売された ZUM GOLDENEN SCHWARM のシングル。
そもそも Giegling というレーベル自体、名前以外の情報はそれほど知らないんだけど、この ZUM GOLDENEN SCHWARM というアーティストも名前以外の情報は一切謎なお方。さらにジャケットもなくラベルにスタンプ押しただけという盤面を見れば、アンダーグラウンドな匂いがぷんぷんですが、音の方も負けず劣らずアンダーグラウンド色が濃い。

ポツポツとなるキックに徐々に重苦しいベースラインが絡みつき、ひんやりとしたシンセが入ってくる以外はたいした展開もないディープ・ミニマルの “Part 1” 、歪んだ音響でミニマル・ダブとは似て非なる空間を作り出し、こちらも歪んだエフェクトがかけらた声が怪しさを増す “Die Wolke” 、地下で蠢くような低音が徐々にノイズに包まれていく “Part 2” と、どの曲も暗く素っ気ないのだが、同時にダンス・ミュージックとしての強度とグルーヴも持っていて、非常にかっこいい。

このレーベルからのリリースは数も少なく、油断するとすぐ売り切れちゃったりするんですが、もう少し注目されていいレーベルかと思います。

試聴

Zebra Katz / Ima Read (Jeffree) mp3

Zebra Katz / Ima Read (Jeffree)
http://jeffrees.tumblr.com/

Mad Decent のサブレーベル、 Jeffree からニューヨークのプロデューサー Zebra Katz の EP 。

そもそも今作を聴こうと思ったのは “Ima Read (Slick Shoota Remix)” がジュークだったからで、そのリミックスはボイス・サンプルと扇情的なシンセが非常にファンキーな一品なんですが、じゃぁ作品全体はといいますと、ベース~ハウス辺りの音をゆるく総ざらいしたような内容になっていて、どれも悪くはないんだけど、 Slick Shoota のリミックス以外あまり印象に残るものがなかったかな。

ジャケットの感じとか好きなんだけど。

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ZEEBRA / 『Black World』『White Heat』 (アリオラジャパン) 2CD

ZEEBRA / Black WorldZEEBRA / White Heat
http://www.zeebra.jp/

活動自体は活発だったのであまり間の空いた感じがしませんが、前作から4年ぶりとなる Zeebra のアルバム。

今作は2枚組みということではなく、ハードコアとパーティーノリという、自身の二つの側面を別々にまとめた作品ということで、まぁ彼なりのファンサービスの一環なのかなとは思うんだけど、今までのアルバムがきちんとテーマを持った作品ばかりだったので、それらに比べると今までの素直な延長線という感じで面白みにかけるかなぁ。

曲単位でいえばスカパラとやった “Gang On The Backstreet” や派手な四つ打ちの “Butterfly City” など新味はあるし、これだけの曲数ありながら捨て曲らしい曲もないだけに勿体無い。

ちなみに私は『White Heat』の方が好きです。こういうちゃらいのやらせたら、やはり彼は抜群に上手いなぁと。

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ZZ Ward / Eleven Roses (Self Released) mp3

ZZ Ward / Eleven Roses (Self Released)
http://www.zzward.com/

LA のシンガー ZZ Ward さんのミックステープ。

1曲目の “Better Off Dead” がまんま “Yonkers” のトラック使っていたりするんですが、今作自体はヒップホップというよりは、その要素を感じさせながらも基本は歌もので、むしろもっと泥臭い、ソウルとかブルースからの影響を感じさせる。

んで、彼女の声もなかなかにドスの利いた迫力のある声をしているんだけど、前半の打ち込みの曲に関しては、あまり彼女の声が活きていないように思える。
むしろエレクトリック・ギターが全編鳴る “Cinnamon Stix” や、ラスト2曲のアコースティックの曲の方が魅力的なので、変に現代的にしないで、普通のバンドセットの方が聴きたいかな。

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ZORZI / Handmade Blend (JORZE Disc) CDR

ZORZI / Handmade Blend
http://www.myspace.com/jorzedisc

oilworks 周辺の DJ が2007年に出したミックスCD。

oilworks っていうと、日本ではあまりいないように思える、ビート・ミュージックとしてのヒップホップを追及している人が多くて、それは今作でも同様。ヒップホップにエレクトロニカやドラムンベースをミックスしてきちんとした流れを作り出していて、やはり私にはラップを中心に繋いだものよりも、こういうミックスの方が聴きやすい。

[Tracklist]

Zomby / One Foot Ahead Of The Other EP (Ramp) mp3

Zomby / One Foot Ahead Of The Other EP (Ramp)
http://www.myspace.com/ramprecordings

今日もまたジャニーズにしようかと思ったけど、それはさすがに怒られそうなので(誰に?)、今日は、ダブステップ界隈で最も「奇人変人だから何?」って感じの Zomby さんのダブル・パック。

この人は作品を重ねるごとに、どんどんダブステップから離れていっている気がしますが、今作にいたってはほとんどダブステップの匂いのしないレイブのりのブレイク・ビーツ。しかし彼のもつごった煮感覚は健在で、エレクトロやブレイク・コア、チップチューンなどをブレイクビーツの上に乗せて、強引に走らせているような印象は以前の作品とそれほど変わらず、そういった意味では一貫性が感じられる。

あと今作を印象付けている、過剰なまでにピコピコと鳴る電子音なんだけど、音自体は派手なものながら、奏でる旋律は悲しげなものが多く、その澄んだ電子音にまた違った響きを与えているのも良い。

でもこの人ってアイデアを練りこむっていう事をしたくないのか、いつも曲が盛り上がってきたところでフェイドアウトしちゃうんだよね。まぁさすがに慣れてきたからいいんだけどさ。

Zomby - One Foot Ahead of the Other

Zomby / Zomby ep (HYPERDUB) mp3

Zomby / Zomby ep (HYPERDUB)
http://www.hyperdub.com/

これは Zomby が昨年末に出したダブル・パック。

一応 HYPERDUB からということで、アルバムよりもダブ・ステップっぽいのかと思いきや、まぁリズムなんかは重量感のある、ダブ・ステップとも親和性の高そうなものではあるんだけど、上モノはピコピコした電子音が暴れまわる、どちらかというとブリープとかアシッドに近いもので、またもや好き放題という感じ。
その分機能性のほうが多少犠牲にされてる気がするのと、ほとんどの曲が短いのが難なんだけど、この方向性でのアルバムも聴いてみたい。

Zomby - Zomby

Zomby / Where Were U in ’92? (WERK) mp3

Zomby / Where Were U in '92? (WERK)
http://www.myspace.com/werkdiscs

昨年のダブ・ステップは、相変わらず物凄い速さで進化と拡散を続けていたように思いますが、その中でも一際ユニークなのがこの Zomby さん。

「お前は92年に何処にいた?」というタイトルが印象的ですが、オレはここにいた、という表明なのでしょうか、その頃を思わせるハードコアなブレイク・ビーツ主体のアルバムになっています。
なんて書くと、単なる回顧的な作品と思われるかもしれないけれど、そんなことは全くなく、ジャングル以前の高速ブレイク・ビーツを軸にしながらも、ダブ・ステップ以降の重さと引きずるような感覚も失われておらず、きちんと同時代性をもっているばかりか、最近のレイヴっぽいダブ・ステップはもちろんのこと、 B-MORE なんかにも繋がってしまうようなごった煮感があって、非常に面白い。
なぜか最後にストⅡの曲のリミックスが入ってるのも、アホっぽくて最高(ストⅡって全然はまらなかったので、原曲分からないのが残念だけど)。

この人基本的にリリース多い人みたいなので、この先もどんなトラックを作ってくれるのか、非常に楽しみです。

Zomby - Where Were U In '92?
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ZIGEN / 語録 (じげん工房本舗) CD

ZIGEN / 語録

神戸の蟹バケツシンドロームというクルーの一員だという ZIGEN の、昨年出たデビュー・アルバム。

この人の音楽を聴いて、まず一番に耳に飛び込んでくるのは、無理矢理変調でもさせて高くしたような独特な声で、はっきりいってこの声は好き嫌いの分かれるところだとは思うんだけど、軸となるべきラップが、この声の生み出すユーモアを生かしながらも、非常にしっかりとした実力の伴ったもので、慣れてしまえばむしろクセになる。

さらにトラックもファンキーなものからメロウなものまで、基本オーソドックスなものながら、しっかりとグルーヴで土台を支えていて、声の印象に引っ張られて突飛なものになりすぎるのを抑えている。中でも神門が参加した “高速道路” での、言葉の隙間から哀愁が零れ落ちるラップは、この路線の曲をもっと聴きたいと思わせるには十分なもの。

最近セカンド・アルバムが出たばかりなので、そちらも聴いてみるかな。

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ZEEBRA / The Anthology (PONYCANYON) CD

ZEEBRA / The Anthology
http://www.zeebra.jp/

相変わらずどうでもいいことから書かせていただきたいんですけれども、最近の Zeebra で驚いたことといいますと、やはり YouTube にアップされた MTV を批判した動画でして。
とはいっても、これを見て未だにシマウマの鼻息は荒いんだなぁ、とか思ったとかではなく、やはり気になったのは Zeebra の生え際の後退具合でして。今までそれほど気にしたことないんだけど、この人の頭ってこんなでしたっけ。まぁあれだけ髪型ころころ変えてれば髪も傷むよなぁ、とは思うけど、あれはどうなんでしょうか。これが例えば K DUB とかだったら、笑いものに嘲笑のネタが増えるだけだから、それほど気にすることでもないのだろうけど、 Zeebra ってキャラ的になしだと思うんだけど、彼は今後どうするのだろう。
ってなんか冗談っぽく書いてはみたけど、これをネタに彼をバカにしようとかいうことではなくて(っていうか私もそれほど頭皮には自信ないし)、これは少し大袈裟にいえば、ヒップ・ホップが老いとどうやって折り合いをつけるのかということだと思うのですよ。ヒップ・ホップという音楽自体がまだまだ若いものだから、日本はおろかアメリカでも老いというものを意識させるヒップ・ホップって聴いたことがないんだけど、なんだかんだでイケイケでブリンブリンな価値観が主流のヒップ・ホップにあって、老いというかなり縁遠い、しかし確実にやってくるものとどうやって対峙していくのか。さらに日本のヒップ・ホップに関していえば、成熟というものさえもほとんど示せていないのが現状なわけで、そう考えると、これからの第一世代の動向というのは注視するべきなのかなぁという気がする。
まぁ ECD とかそういった意味において、ある一つの方向性は示せてるのかもしれないけど、あの人は特殊だからなぁ。そうするとなんだかんで Twigy が一番上手く年を重ねてるのかな(まだ新作聴いてないけど)。

今年はなんでも Zeebra がラップ初めて20周年だそうで、それを記念したベスト盤。

私がはじめて日本のヒップ・ホップを聴いたときの印象というのは、とにかくトラックがしょぼくって、さらに日本で独自のものになりすぎてヒップ・ホップ感があまりにも薄い、というものだったんだけど、そんな中にあって、 Zeebra だけは『Rhyme Animal』のころから強烈なヒップ・ホップ感を放っていて(まぁそのヒップ・ホップ感がなんなのかと問われると、ちょっと言葉に詰まるんだけど、少なくとも日本語ラップのようにラップだけで完結するものではない)、それだけで彼は特別な存在なんだけど、さらに Zeebra は本場の音をすばやく翻訳して、自らが前面に出ることによってヒップ・ホップを広めてきたんだから、彼の功績というのは改めて評価されていいもののように思います。

しかし私が彼のすべてを評価しているのかというと、もちろんそんなことはなくて、 Zeebra ってメジャー志向のわりに、ここぞというところでどうも毒が飲めないんだよね。だってさ、自分のことを尊敬してる小僧っ子がさぁ、自分のスタイルちょっと真似たから公開処刑って、どう考えたって大人気ないだろう(降谷建志という才能を潰したという意味で、未だに私はあのことを根に持っている)。それ以外でも、彼がもっと長い目で考えて、汚れ役にさえなれば、現在の日本のヒップ・ホップって全然違う広がりをみせてたと思うのだが。

あとこうやって昔から現在の曲を聴いてみると、彼って昔に比べるとフロウの幅がむしろ狭まってる気がするのは私だけでしょうか。日本のヒップ・ホップのクラシックをつなぎ合わせたビートの上でラップする “Jackin’ 4 Beats” は、ベスト盤という性質を考えればなかなか興味深いものだとは思うんだけど、せっかくビートがコロコロ変わるのに、 Zeebra のフロウが画一的じゃなんに面白みになかろうに。

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