Shed / Shedding The Past (Ostgut Ton) mp3

Shed / Shedding The Past (Ostgut Ton)
http://www.ostgut.de/ton/

Delsin や自身のレーベルである Soloaction から何枚かシングルを出している Shed のファースト・アルバム。

リリース元である Ostgut Ton といえば、わりと温故知新的な方向性の作品が多いレーベルですが、この作品もそれは同様で、テクノの基本中の基本とでもいうべき、ミニマル・ダブとデトロイトを融合させたものになっています。
とはいっても、今までもそういった方向性の作品というのはあったわけですが、その手の作品のほとんどが、デトロイトのメロディにダブの音響を足そうとするあまり、むやみに分厚い音になっているものが少なくありませんでした。しかしこの『Shedding The Past』という作品は逆で、全体の印象がとにかくシャープ。
メロディアスな上モノを聴くとかなりデトロイト的ではあるんだけど、そのほとんどが淡い色調のものが多く、またそこに施されたダブ的な音響もさり気ない。そしてリズムも、しっかりとした芯は感じさせてくれるものの、余計なものを全て削ぎ落としたような非常に引き締まったもので、全くもって無駄がない。さらにはダブ・ステップ以降を意識したのか、変則的なリズムの曲が多いのも、やたらと basic channel を租借したがるミニマル・ダブにあって、時代性への強い意識が感じられて、非常に好感がもてる。

まぁ逆にいうと、変則的なリズムの曲が多すぎて、もう少しストレートな四つ打ちの曲が欲しいところではあるんだけど、まぁそれはシングルである程度カバーできるんでしょう(12インチ聴いたことないので断言は出来ないけど)。
とりあえずこのまま健やかに育ってほしいお方です。

試聴
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福山雅治 / 想 -new love new world- (UNIVERSAL) CD

福山雅治 / 想 -new love new world- (UNIVERSAL)
http://www.amuse.co.jp/fukuyama/mashamaro-shuppan/

以前アルバムの記事でも少し書いたんだけど、私は音楽家としての福山雅治の才能を非常に評価していて、だからこそ現在の彼のような、タイアップ・シングル中心の活動というのは、どうしてももったいない気がしてしまうんだけど、それは今回も変わらず。

ダンサブルなロック・ナンバーの “想 -new love new world-” 、少し往年のシティ・ポップスを思わせるミドル・バラード “明日の☆SHOW” 、彼らしい力強さを持った “HIGHER STAGE” と外れ曲は一切ないんだけど、スタイル的にここ何枚かでのシングルの定番路線といった趣で、自分的にはもう一つグッとこないのですよ。

現時点での最後のオリジナル・アルバムともいえる『f』でみせた幅広い音楽性というのは、アルバムを出さなくなった今でもそれほど錆付いてないと思う。でもだからこそ、ある程度スタイル的に似てきてしまうタイアップ曲中心の活動というのは、何度も書くがもったいなく思える。でもこの感じだと、次のアルバムもシングルの寄せ集めになるのかな。むむ~。