TARO SOUL / BIG SOUL (Ki/oon) CD

TARO SOUL / BIG SOUL (KIOON) CD
http://www.tarosoul.com/

このCDの帯にも書いてあるように、今では客演で引っ張りだこの TARO SOUL のメジャー・デビュー・ミニアルバム。

昔から日本のラッパーに足りないものは歌唱力だと思ってた人間なんで、 TARO SOUL みたいなきちんと歌も歌えてラップも出来るアーティストの登場というのは、個人的には大歓迎なんだけど、彼の場合まだフロウの幅がイマイチ狭いせいか、よくいえばソウルフル、悪くいうと少々くどいヴォーカルなように思うので、全体的にパーティノリの軽い感じでまとめた本作は、なかなか聴きやすくて良いんじゃないかしら。

モロに80年代なシンセの音に思わず仰け反るタイトル曲や、ヒップ・ホップの大定番曲のリメイク “HIP HOP HOORAY 2008” などの曲の間に、お得意のメロウな曲を挟みこんでいてバランスがいいし、韻踏合組合との “ガッデム” では、今の韻踏って意外にこういう華やかなトラックが合うんだなぁ、という新たな発見もあって面白い。

まぁそれでもこれがフル・アルバム・サイズだったらちょっとキツイかも、というのも思わなくはないので、もっとヴァリエーション増やしてくれるといいのですが。

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ditch / precede me ep (op.disc) 12″

ditch / precede me ep (op.disc)
http://www.opdisc.com/

今でこそ日本もミニマル/クリックがテクノの主流といった感じですが、2000年代前半の、それこそ『clicks & cuts』の頃とかって、日本での反応って結構冷ややかなものだった印象があります。しかしそんな中でも作品を発表している人というのは少ないながらもいて、 vauxhall 44 なんかは日本人としてはかなり早い段階でアルバムを出していた人だと思うし、 MONTAGE も別名義の BERGBAHN でミニ・アルバムを出したのも、比較的早い時期だったのではないかと記憶しています。そしてその少しあとに Nao Tokui の『MIND THE GAP』があったりするわけなんですが、そのどれもが日本のトラック・メイカーにありがちな音の細さを感じさせるもので、正直クラブ・トラックとしては非常に物足りないものでした。

まぁ日本人の作るトラックは線が細い、というのは、それこそテクノとかヒップ・ホップ聴き始めた時からずっと思ってたことではあって、だからこそ、 ditch の初のアナログ・リリースだった『Kimidori EP』の、海外のものと比べても全く遜色のない、見事な音作りを初めて聴いた時は結構衝撃的でした(まだ海外からリリースするミニマル系の日本人って少なかったしね)。

そんなことがあったんで、自分の中では ditch というのはなかなか印象深い人なんだけど、『Kimidori EP』でのミニマルさとはまた別の魅力を、彼は op.disc ではみせてくれているように思います。

ということで前置きが長くなりましたけれども、昨年のアルバム『ditch weed』からのアナログ・カット。当初の予定だとアルバム発売前に出るはずだったんだけど、なぜか1年遅れてのリリースになります。

デビュー時から一貫している、柔らかいキックの質感はそのままに、非常に多くの音を用いながらも、それをすっきりと、しかしふくらみのある音に仕上げているのはアルバムと一緒。しかし、細かく刻むベースと不穏な上モノでもって、高い緊張感を持続させる “oaob4” 、しなるようなリズムが非常にダンサブルな “jap” 、微妙な音のずれによってファンキーなグルーヴを作り上げている “found” と、どの曲も素晴らしかったアルバムに負けず劣らずの質の高さ。
そしてもう1曲、アルバムの冒頭を飾っていた “mysterious hoze” が収録されていて、まぁアルバムのヴァージョンを全く同じではあるのだけれど、この曲は何度聴いても名曲。彼の作品の中でもかなり音数の多いリズムの上で、深く響き渡るピアノの音と、ヒラヒラと舞い踊るようなギターの対比が素晴らしくて、何回聴いても全く飽きさせない。

まぁあえて難をいうならば、アルバムの世界と同一すぎる気もするんだけど、元々アルバムの先行シングルの予定だったんだから、それはしょうがないというものでしょう。あとは確かもう1枚シングル出す予定だったはずなので、そちらも早く出してほしいところですが。

Ditch - precede me - EP

Marc Houle / Sixty Four (m_nus) mp3

Marc Houle / Sixty Four week 1Marc Houle / Sixty Four week 2Marc Houle / Sixty Four week 3Marc Houle / Sixty Four week 4

http://www.m-nus.com/

Magda と Troy Pierce (秋に Louderbach アルバムだって!キャー!!)の3人で Run Stop Restore として活動する、という説明があまり意味を成さないくらい単体での活動が目立っている、 Marc Houle の連作シングル。

m_nus というと、どうしても沈み込むようなアシッド・ミニマルという印象が強いんだけど、今作はジャケットからして今までとずいぶん雰囲気が違いますね。
そして内容の方も、従来の m_nus の緻密な印象を与えるトラック郡に比べると、あまり作りこみを感じさせない大雑把な作りになっていて、これが予想以上に良い。ほとんどの曲がスカスカなリズムと、アシッドともブリープとも似て非なる電子音で組み立てられていて、展開もエフェクトで音を歪ませる程度という、非常にシンプルなモノながら、上モノであったりベースラインなどに、こちらの耳を一瞬でつかんで離さない強烈なつかみがどの曲にもあって、聴いていてとにかくアガる。

思えばハードミニマル全盛の時って、アイデア一発勝負みたいなシングルが結構あったような気がするんだけど(user とか)、今作にはそういったものに近いざっくりとしたノリが感じられて、懐かしさとともに、非常に新鮮に聴けました。必要以上にベースを強調しなかったのも良かったように思います。

因みにヴァイナル派の方には、4枚全12曲の中から7曲抜粋したダブルパックがもうすぐ出ます(私の好きな曲がことごとく入ってないので買わんけど)。

METALLICA / DEATH MAGNETIC (UNIVERSAL) SHM-CD

METALLICA / DEATH MAGNETIC
http://www.metallica.com/

私が今まで聴いたことのあるメタルのバンドの中で、もっとも偉大なバンドだと思うのは METALLICA なんですが、その理由は単純で、『Kill ‘Em All』というアルバムを作ったから。では『Kill ‘Em All』の何をそんなに評価しているのかというと、あの殺気にも近い緊張感であったり勢いなんですね。

そういった意味では前作の『St. Anger』って自分の中では非常に評価の高い作品なんだけど、その後のライヴでは昔の曲のオンパレード、挙句の果てには『Master of Puppets』の完全再現(過去記事)なんかしたりして、『St. Anger』でせっかく掴んだものを自ら手放しているような印象さえ抱いたものでした。

そして前作から5年ぶりとなる『DEATH MAGNETIC』は予想通りの原点回帰作。なんでもプロデューサーの Rick Rubin の提案だったようで、「変化を求めるあまり、自分の得意なものを避ける必要はない」っていうのはそのとおりだと思うんだけど、じゃぁ今の自分たちに昔みたいなことが出来るかっていると、それはまた全然別問題なわけで、精神的にも年齢的にも、また環境的にも昔の METALLICA になど戻れるはずがない。そこを『LOAD』『RELORD』で学んだ現代的な方法論と、独特すぎる音作りで補完してみせたのが『St. Anger』だったのに、それを捨てて体裁だけ繕ってみても、そんな作品は退屈なだけ。

個人的には、『LOAD』『RELORD』で垣間見せた、 James Hetfield の歌ものシンガーとしての魅力に焦点を当てた作品を作るのが、バンドの方向性としては一番自然なように思えるんだけど、それはそれで予定調和すぎてつまらないのかもしれないし、かといって本作はメタルとしては角が立ったところがなさ過ぎる。

まぁ私は1枚目が最高、評価の高い2枚目と3枚目はその1枚目の残り香で何とか体裁を保っただけ、と考えているかなり極端な人間なんで、普通に METALLICA 聴いてる人の実感とかなりかけ離れているのは間違いないんだろうけど、それでもこの作品が絶賛でもって向かえらるのって、それこそ予定調和の極みのように思えるのだが。

Metallica - Death Magnetic
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つじあやの / COVER GIRL 2 (JVC) 2CD

つじあやの / COVER GIRL 2
http://www.tsujiayano.com/

ウクレレ片手にデビューしたつじあやのも、もう活動暦10年ですか。早いもんですね。そんな彼女のカヴァー・アルバム。

カヴァーというものに一体何を求めるのか、というのはもちろん人それぞれ違うんだろうけれど、その中の一つに、どう意外性をもって楽曲を再解釈するのかというのがあると思うのですが、そういった意味での面白さは、このアルバムに関してはほとんどない。

スタジオ録音の『tokyo side』、フィールド・レコーディングの『kyoto side』の2枚組みで、『tokyo side』の方はスタジオで録ってる分、アレンジで多少の色づけはなされているものの、両盤とも基本的にはつじあやのの歌とウクレレが基本になっていて、見事に彼女の歌になっている。でもその分一つの色に染まりすぎていて、やや単調な感が否めないんだよね。
曲単体では全然文句ないんで、あとは要所要所で意外性が盛り込まれていたら、アルバムの印象は全然違った気がするのですが。

でもきちんと自分のものに出来ている分、最近巷に溢れ過ぎている糞カヴァーよりはるかに良いのは間違いないんだけど。

つじあやの - COVER GIRL 2
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GIRL NEXT DOOR / Drive away (avex) CD

GIRL NEXT DOOR / Drive away
http://girlnextdoor.jp/

個人的にはデビュー作『偶然の確率』(過去記事)がツボだった GIRL NEXT DOOR の、矢継ぎ早の2枚目。

イントロの今時ないくらいトランスっぽいシンセに思わず仰け反りそうになるんだけど、歌が始まってしまえば、やっぱり avex な王道 J-POP 。前作同様まさに既聴感のみで構成されたような曲なんだけど、こちらの方がテンポが速い分、不健康なまでに健康的な躁状態、とでもいいたいような感覚が強くて、こういうのには逆らえないんですねぇ。同じ応援ソングでも、こういう病的な方が私は好きです。

あと今作も avex のいつもの例に漏れず、リミックスが2曲ほど収録されてるんですが、こういうのって、一体どういう層に向けて作ってるんですかね。昔近田春夫が「クラブで使える」みたいなこと書いてた気がするけど、ホントに現場で使ってるとは思えないしさ。せいぜい使ってても「申し訳」とかその手のでしょ。そういうのがそれ程需要があるとは思えないしなぁ。まぁこういう avex のリミックスだけでカッコいいミックス作れる人がいるのなら、ぜひとも聴いてみたいところではありますが。

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EXILE / The Birthday ~Ti Amo~ (avex) CD

EXILE / The Birthday ~Ti Amo~
http://exile.jp/

何気に EXILE ってまともに聴くの初めてなんだけど、なんでも彼らの28枚目のシングルなんだそうで。

どうも EXILE って、頭剃り上げたいかつい兄ちゃんが甘い声出してるのが気持ち悪くて、イマイチ好きになれないんですが、 CD だと当然音だけで映像がないので、そうやって聴くと意外に悪くないですね。

まず1曲目の “Ti Amo” は、いかにもといった感じの甘いラブ・バラード。歌詞では不倫という関係の中で、葛藤する主人公が描かれてるんだけど、惜しいのは女性視点の歌なんだよね。これで男が妻と恋人の間でウジウジとしまくるような歌詞だったら、私の好きなダメ男 R&B なんだけどなぁ。でも悪くないです。

2曲目はベスト・アルバムからのカットらしくて、それに VERBAL のラップを乗せたもの。シャンプーの CM で使われてる曲ですね。でもこの曲はどうでもいい感じ。

そして問題なのが3曲目の “24karats” 。以前 SoweluDOBERMAN INC と組んで出した曲のヴァージン違い。
私は韻踏合組合、中でも OHYA が好きだった人間なんで、 DOBERMAN INC ってずっと避けてきたんだけど、色んなところでラップが上手いという文章を見ていたし、最近の Bach Logic の出世ぶりもあるので、けっこう楽しみにしてたんだけど、う~ん、これって上手いっていうのかなぁ。私には単なる没個性にしか思えないんだけど。まぁ華やかなこの曲には合ってるかな。

4曲目は何故かデビュー曲 “Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~” の再録。昔からこの曲ってどこがいいのか分からないんだけど、それは今回の再録でも変わらず。っていうか昔のヴァージョンとどこが違うのか分からん。

なんか文章にしてみるとけなしてばかりになってしまいましたが、これでも楽しめた方なんですよ。まぁ期待値が相当低かったしね。さすがにこれがアルバムとかになるとキツイけど。

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TV On The Radio / Dear Science (Geffen) mp3

TV On The Radio / Dear Science
http://www.tvontheradio.com/

多分 The Strokes がデビューした辺りからじゃないかと思うのですが、世間で話題になってるロック・バンドを聴いてみても、一体どこがスゴイのかまったく分からないんだけど、このアルバムもそうですかね。

メロディはキャッチーでどれも良く書けてるし、ファンキーな演奏もカッコいい。ポップなロックとしては素直に盛り上がれる良いアルバムだとは思うけど、これで世界の最重要バンドバンドみたいないわれ方しちゃうと、それはちょっと違うんじゃないかなと。それと聴く前は、もっとジャンルのごった煮的なのを想像していたので、そういった意味でもちょっと肩透かし。

まぁそれでも悪いアルバムだとは全然思わないので、あとはヴォーカルの人が、イギリスっぽい抑揚ありすぎる歌い方じゃなくて、もっと太い感じになると、さらに私好みになるのだが。

TV On the Radio - Dear Science (Bonus Track Version)
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Skoozbot / The Rising Sap (Plus 8) mp3

Skoozbot / The Rising Sap
http://www.plus8.com

なんだかんだで Adam Beyer が2005年に plus 8 から出した『a walking contradiction』(過去記事)って、それ以降の Plus 8 の方向性を決定付けたのかな、と思うんですが、この Skoozbot による EP も、今では Plus 8 の主流のスタイルになった感のあるグルーヴィーなテック・ミニマル。

サブ・レーベルである m_nus が引き算の美学を追及しているのに比べ、 Plus 8 の方がはるかに動きのあるものが多いわけですが、共通してるのはどちらもすごく機能的なんですね。そして機能的っていうことは、ある種型にはまりやすいともいえるわけで、その方に収まらずに非常に刺激的なときもあれば、そうじゃない時もある。

んで、この作品に関しては、機能的で終わっちゃってますかねぇ。ここに収められたトラック自体には特に不満はないながらも、別にこの人じゃなくても、っていう感じがしてしまうのですよ。

まぁ私が以前ほどミニマル聴かなくなったので、トラック毎の微妙な差異を見つけづらい、というのは否めないんだけど、ミニマルでそれをいっちゃぁ身も蓋もないしなぁ。

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Jens Zimmermann / Space Migration 3000 (Treibstoff) mp3

Jens Zimmermann / Space Migration 3000
http://www.treibstoff.org/

Jens Zimmermann が今年の頭の方に出したシングル。

今作も収録された2曲とも10分を越す長尺なんだけど、表の “Hey Freak” なんかは、ラテンっぽいパーカッションと、ブリープっぽい歪んだシンセ音のおかげで結構聴きやすい。でもリズムが淡白なのはこの曲も同様で、やっぱどこか物足りないんだよなぁ。
それに比べるとミニマル・ダブな “Sequenz 31” の方が、ベースラインが加わっている分、リズムにうねりがあって好きですかね。

でもこういうの聴いてると、キック中心のハード・ミニマル聴いてたころから、自分の趣味が如何に変わったかを感じますね。むしろ昔に聴いてた方が好きになってたのかも。

Jens Zimmermann - Space Migration 3000 - EP

Jens Zimmermann / C30 (INTERNATIONAL FREAKSHOW) mp3

Jens Zimmermann / C30
http://www.internationalfreakshow.com/

80年代から活動しているベテランながら、最近ミニマルな作風にシフトして人気の Jens Zimmermann のダブルパック。

短くても10分弱、長いものだと13分以上にもなる長尺曲ばかりが収録されていながら、ほとんどの曲がこれといった展開もなく、上モノといえばうっすらとパーカッションがのるくらいで、あとはエフェクトの抜き差しだけで引っ張るという、相当硬派というか地味なもの。

個人的にはそういうミニマルなのは大好物なので、この作品も支持したいところなんだけど、どうもあと一歩のところでのめり込めないのは、この人ちょっとリズムのヴァリエーションに乏しいのよね。なんかホント淡々とキックがリズムを刻むだけで(しかもそのキックの音も似たり寄ったりだし)、曲の構造以上に地味な印象を受けてしまう。

基本的に好きなタイプの曲なのは間違いないんだけど、もう一味欲しいところです。

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Basti Grub / Ich Reit Durch Wolfersheim (Hohenregler) mp3

Basti Grub / Ich Reit Durch Wolfersheim
http://www.hoehenregler.com/

この前ちょっと書いた、最近人気のパーカッシブなビートの上にオリエンタルなメロディを乗せる作風で、注目を集めているのが、 Guillaume & The Coutu Dumonts と sis 、そしてこの Basti Grub ですかね。

とはいっても私はこの人の事全然知らなくて、なんとなく人気があるのは伝わってきていた前者二人に比べると、なんか唐突に注目を集めだしたような印象でして。そしてそれに輪をかけるようにこのシングルも不思議なシロモノ。
淡々と四つ打ちで刻み続けるキックと、その上にのるガムランなどのパーカッションのみがリズムで、いまどきのミニマルにしては珍しくベースは一切なし。そして上ものはかすれ気味の笛の音と、散文的にうっすらと自然音のサンプルが鳴るのみ。そんな曲を多少の音の抜き差しだけで、ほとんど展開ないまま引っ張るんだから、それだけで褒めてあげたくなりますが、何度も聴いているうちに、こちらもその妖しいループにはまり込んでしまうんだからたまらない。
裏面も全然違うタイトルながら、実質同じ曲で、裏表合わせて19分弱、精神を変な方向に持っていってくれる。こういうのを「実用的」っていうんだろうねぇ。

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Naked Music / Re-Creation (Naked Music) mp3

Naked Music / Re-Creation
http://www.naked-music.com/

四つ打ちを色々と聴くようになってからけっこう時間は経っているのですが、それでも未だに直球のハウスって少し苦手でして。しかしそんな私でもなぜか昔から Naked Music だけは好きなのです。いや、まぁ Naked Music が直球のハウスなのかは分からないけど、ハード・ミニマルしか聴いていなかったような時期でも、唯一聴けたのが Naked Music でした。

でも最近はこのレーベルの音源を聴くこともほとんどなくて、レーベル自体もそれほど活発に動いてはいなかったようなんだけど、久しぶりの作品となるのがこのアルバムで、 Blue Six の名義で知られる JAY DENES によるアルバム。

このレーベルの音のどこが好きかって、それはやはりエロいところなんですけれども、そのエロさを極端なまでに洗練させて、シティ・ポップスかよ、ってな域まで大人の雰囲気むんむんなのが魅力的。そしてそれだけで終わらずに、どの曲もゆったりとしていながらも、しっかりとしたリズムを持っていて、ダンス・ミュージックとしての側面を御座なりにしていないので、普段ミニマルに慣れた耳でも聴きやすい。

まぁ難をいえば、音が昔からほとんど変わっていないといえばいないんだけど、これに関してはもうお家芸といいますか、このレーベルはそれで全然問題ない気がします。そうやって思えるハウスのレーベルも、私には Naked Music くらいだしね。

Naked Music - Re-Creation
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BENGA / DIARY OF AN AFRO WARRIOR (TEMPA) mp3

DIARY OF AN AFRO WARRIOR
http://www.tempa.co.uk/

今年の春頃に出て、早くも2008年のダブ・ステップを代表する傑作といわれたこのアルバムなんですが、気がついてみれば、ダブ・ステップの予想以上の動きの速さと、それ以降の Benga 本人の動きが鈍かったのもあって、なんか印象薄れちゃった気がするのは私だけでしょうか。

まぁでもそれもしょうがないかなというのが正直なところで、ちょっとこのアルバムっていろんなタイプのダブ・ステップを披露してはいるものの、特にこれといった新機軸が打ち出せてないように思えるんですよね。リリース当時メディアでいわれていたほど、テクノの要素が強いとも思わないし。それにダブ・ステップとしてはともかくとして、ベース・ミュージックとしての魅力に乏しいのも、個人的にピンとこない一因かも。

でもこの人 Skream と一緒で20代前半と若く、ダブ・ステップの今後を担っていく逸材なのは間違いないとは思うので、これからに期待します、と書いておこう。

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ZIGEN / 語録 (じげん工房本舗) CD

ZIGEN / 語録

神戸の蟹バケツシンドロームというクルーの一員だという ZIGEN の、昨年出たデビュー・アルバム。

この人の音楽を聴いて、まず一番に耳に飛び込んでくるのは、無理矢理変調でもさせて高くしたような独特な声で、はっきりいってこの声は好き嫌いの分かれるところだとは思うんだけど、軸となるべきラップが、この声の生み出すユーモアを生かしながらも、非常にしっかりとした実力の伴ったもので、慣れてしまえばむしろクセになる。

さらにトラックもファンキーなものからメロウなものまで、基本オーソドックスなものながら、しっかりとグルーヴで土台を支えていて、声の印象に引っ張られて突飛なものになりすぎるのを抑えている。中でも神門が参加した “高速道路” での、言葉の隙間から哀愁が零れ落ちるラップは、この路線の曲をもっと聴きたいと思わせるには十分なもの。

最近セカンド・アルバムが出たばかりなので、そちらも聴いてみるかな。

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GIRL NEXT DOOR / 偶然の確率 (avex) CD

GIRL NEXT DOOR / 偶然の確率
http://girlnextdoor.jp/

別段好物というわけではないんだけど、ふとした瞬間にファンタとかマックとか、添加物の多そうな食べ物(実際はどうだか知りませんが、イメージとして)が食べたくなるときがあるんだけど、それと同じようなことが音楽でもありまして。ではそのような時に、私はどんなのを聴くかといいますと、まさにこの曲ですよ、 GIRL NEXT DOOR のデビュー曲である “偶然の確率” 。

なんでもこの人たちは avex の20周年である今年送り出された大型新人らしいんだけど、もう私は CM で聴いた瞬間にもってかれた。昔 ELT がデビューした時も、ただでさえパチもんくさい globe の、またさらに三流コピーのような風情にしびれたものだけど、この GIRL NEXT DOOR も、この J-POP の進化など何もなかったかのような(実際なかったのかもしれないけど)、どこからどう聴いても avex 意外ではありえないような王道の打ち込み J-POP で、とにかくスゴイ。

イントロのギターが鳴った瞬間、そのあまりに90年代な音色にクラクラするんだけど、それ以降も、曲にしろ歌詞にしろ音にしろ、構成される要素の全てにオリジナルなものが一切なく、 trf 以降の avex の語法を駆使したものになっていて、逆に最近の avex にはない王道感を強く感じる。もうすぐ21世紀も10年経とうというのに、こんな音を鳴らせるのは、よほどの天才かアホかのどちらかだろう。
そして後ろで演奏してるおっさん二人はどうだか知らないけど、少なくとも歌っている女の子に関していえば、自分の歌、及び音楽が最高であると信じて疑ってないような堂々としたたたずまいのヴォーカルで、そこが素晴らしいし、でも実際には、音程はともかくとして、声に躍動感がなくて平板な印象しか与えないのも avex っぽくて個人的にはツボ。歌詞が誇大妄想気味なのも、小室哲哉っぽくていいし。

まぁ正直いえば、全てにおいてディフォルメがきつすぎて、この曲がいいのか悪いのかもよく分からないんだけど、好きか嫌いかでいえば私は大好き。なんかこうなってくると day after tomorrow を聴いてこなかったことが悔やまれるが、まぁそんなことはどうでもいい。彼らにはこのまま、時代の徒花として添加物にまみれた曲を量産してほしいなぁ。

GIRL NEXT DOOR - 偶然の確率 - EP

ZEEBRA / The Anthology (PONYCANYON) CD

ZEEBRA / The Anthology
http://www.zeebra.jp/

相変わらずどうでもいいことから書かせていただきたいんですけれども、最近の Zeebra で驚いたことといいますと、やはり YouTube にアップされた MTV を批判した動画でして。
とはいっても、これを見て未だにシマウマの鼻息は荒いんだなぁ、とか思ったとかではなく、やはり気になったのは Zeebra の生え際の後退具合でして。今までそれほど気にしたことないんだけど、この人の頭ってこんなでしたっけ。まぁあれだけ髪型ころころ変えてれば髪も傷むよなぁ、とは思うけど、あれはどうなんでしょうか。これが例えば K DUB とかだったら、笑いものに嘲笑のネタが増えるだけだから、それほど気にすることでもないのだろうけど、 Zeebra ってキャラ的になしだと思うんだけど、彼は今後どうするのだろう。
ってなんか冗談っぽく書いてはみたけど、これをネタに彼をバカにしようとかいうことではなくて(っていうか私もそれほど頭皮には自信ないし)、これは少し大袈裟にいえば、ヒップ・ホップが老いとどうやって折り合いをつけるのかということだと思うのですよ。ヒップ・ホップという音楽自体がまだまだ若いものだから、日本はおろかアメリカでも老いというものを意識させるヒップ・ホップって聴いたことがないんだけど、なんだかんだでイケイケでブリンブリンな価値観が主流のヒップ・ホップにあって、老いというかなり縁遠い、しかし確実にやってくるものとどうやって対峙していくのか。さらに日本のヒップ・ホップに関していえば、成熟というものさえもほとんど示せていないのが現状なわけで、そう考えると、これからの第一世代の動向というのは注視するべきなのかなぁという気がする。
まぁ ECD とかそういった意味において、ある一つの方向性は示せてるのかもしれないけど、あの人は特殊だからなぁ。そうするとなんだかんで Twigy が一番上手く年を重ねてるのかな(まだ新作聴いてないけど)。

今年はなんでも Zeebra がラップ初めて20周年だそうで、それを記念したベスト盤。

私がはじめて日本のヒップ・ホップを聴いたときの印象というのは、とにかくトラックがしょぼくって、さらに日本で独自のものになりすぎてヒップ・ホップ感があまりにも薄い、というものだったんだけど、そんな中にあって、 Zeebra だけは『Rhyme Animal』のころから強烈なヒップ・ホップ感を放っていて(まぁそのヒップ・ホップ感がなんなのかと問われると、ちょっと言葉に詰まるんだけど、少なくとも日本語ラップのようにラップだけで完結するものではない)、それだけで彼は特別な存在なんだけど、さらに Zeebra は本場の音をすばやく翻訳して、自らが前面に出ることによってヒップ・ホップを広めてきたんだから、彼の功績というのは改めて評価されていいもののように思います。

しかし私が彼のすべてを評価しているのかというと、もちろんそんなことはなくて、 Zeebra ってメジャー志向のわりに、ここぞというところでどうも毒が飲めないんだよね。だってさ、自分のことを尊敬してる小僧っ子がさぁ、自分のスタイルちょっと真似たから公開処刑って、どう考えたって大人気ないだろう(降谷建志という才能を潰したという意味で、未だに私はあのことを根に持っている)。それ以外でも、彼がもっと長い目で考えて、汚れ役にさえなれば、現在の日本のヒップ・ホップって全然違う広がりをみせてたと思うのだが。

あとこうやって昔から現在の曲を聴いてみると、彼って昔に比べるとフロウの幅がむしろ狭まってる気がするのは私だけでしょうか。日本のヒップ・ホップのクラシックをつなぎ合わせたビートの上でラップする “Jackin’ 4 Beats” は、ベスト盤という性質を考えればなかなか興味深いものだとは思うんだけど、せっかくビートがコロコロ変わるのに、 Zeebra のフロウが画一的じゃなんに面白みになかろうに。

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Appleblim / Dubstep Allstars Vol 6 (Tempa) mp3

Appleblim / Dubstep Allstars Vol 6
http://www.tempa.co.uk/

Tempa のミックス・シリーズの第6弾は、 Shackleton と共に Skull Disco を運営する Appeleblim

まぁ私が数聴いてないのが一番の原因なのかもしれないけど、ダブステップって12インチ単位で聴いてると、こんなんでどうやって踊るんだ?、みたいなトラックが少なくないように思うんだけど、こうやってミックスで聴くと、見事にダブステップの機能性というものが浮き彫りになっていて、毎度感心してしまう。

そしてこのミックスでも、冒頭ルーツよりのトラックで始まりはするものの、徐々に熱を帯びてくる流れは、見事に踊れるものになっているんだけど、惜しむらくは、ほぼカットインに近い形で挿入されているトラックの前後の脈略というのがイマイチ感じられない場面が多くて、微妙にムードがころころ変わるんだよね。まぁそれも流し聞きとかでは全然気にならない程度なので、それほど問題ではないんだけど、ヘッドフォンで音楽聴くことが多い私にはちょっと気になります。

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Guillaume & The Coutu Dumonts / I Was On My Way To Hell (Circus Company) mp3

Guillaume & The Coutu Dumonts / I Was On My Way To Hell
http://www.circusprod.com/

今のミニマルって “heater” 以降というべきなのか、やたらとオリエンタルなメロディのトラックが目立ちますが、それと似たような流れなのか、パーカッシブなのもずいぶんと増えてきていて、それとは別に、またハウスっぽいのもやたらと多くなっていて。

というのが私の印象なんだけど、実際どうなんでしょう。なんかシスコが無くなってからというもの、あんまりレコ屋に行かなくなっちゃったし(買ってはいるけど)、元々クラブに頻繁にいく人間でもないので、実は最近のミニマルって全然分かってないんだけど、まぁそれほど大きくは外れてない気がする。

んでまぁそういう流れからいくと、一時期ほどの勢いはないものの、いまだ高い人気をほこっているのがこの Guillaume & The Coutu Dumonts さん。なんかものすごく二人ユニットっぽいお名前ですが、カナダ出身の Guillaume Coutu Dumont の一人ユニットで、 Egg とか Luci とかやってる人なんだそうで。

カナダのミニマル系のアーティストの多くがそうであるように、この人もカナダのレーベル中心に出してたんだけれども、今作はフランスの Circus Company からになるわけですが、表題曲は、上にあげた3つの要素を見事なまでに混ぜ合わせた曲。ってもどれも要素的に相性はいいので、何の不自然さも感じさせない、楽しげなファンキー・ミニマル・ハウス。

そして裏の “Can’t Argue With Silence” はもっと隙間を生かながらもよりミニマルに、でも独特のゆるさも持っていて、やはり明るく楽しげな曲になっていて、これも最近の傾向なんですかね。思えば近頃人気のある曲って、基本的に明るい曲が多いもんね。やはり皆さんいい加減鬱々と踊るのには飽きたということなのでしょうか。そうするとこの先にあるのはハウスのシカゴ回帰な気がするし、最近のデトロイトの復権とあわせて、テクノも原点回帰するんでしょうか。んで、暗いミニマルの方々は(私が好きなの)、ダブ・ステップと交配して、よりミニマルに鬱々と、ってな感じなのかしら。うん、よく分かんないや。

っていうかすげぇ眠い。なので今回かなり文章グダグダですね。次回からはもっとがんばります。ごめんなさい。

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BAReeeeeeeeeeN / 足跡 (avex) CD

BAReeeeeeeeeeN / 足跡
http://bareeeeeeeeeen.com/

以前『weeeek』の記事でも書いたんだけど、私は今までほとんど GReeeeN って聴いたことなかったんですが、そんな私が彼らの曲をまともに聴いたのが「ルーキーズ」で。

はじめてドラマで流れてるの聞いたときには、こんな退屈な奴等が売れるんじゃ日本も終わりだな、くらいの事を思ったんですが、人間といい加減なもので、っていうか私がいい加減なんですが、ああいうベタなドラマの中で、彼らの作るベタなメロディが何度も流れると、不思議とこちらも感動させられてるような気になってくるんですね。

んなものですから、いつの間にか彼らに対しても好意的になりつつあったんですが、そのあと出たアルバムはタイミングが合わず聴けなかったので、 GReeeeN と何かと何か(超適当)が合体したこのユニットのシングルを聴いてみた次第です。

でも聴かなかった方が良かったかな。

この曲もテレビのCM何度も聴いていて、なかなか悪くないと思っていて、実際今聴いてもサビの部分は嫌いじゃないんだけど、バックの音が何でこんなしょぼいんですかね。しかもヴァースの部分での、特別上手いわけでもなく、かといって下手くそなわけでもない、なんかイマイチとしか表現のしようのないラップが、この曲の印象をずいぶんと損ねてる。

それと全然曲数聴いてないのにこんなこと書くのもフェアじゃないんだけど、今まで聴いてきた感じだと、 GReeeeN ってメロディのパターンが極端に少ない気がするんだよね。それはここでラップしてる人たちのフロウも一緒で、カップリング共々印象がまるで変わらない。

うん、やっぱり聴かない方が良かったかな・・・・。