TARO SOUL / BIG SOUL (Ki/oon) CD

TARO SOUL / BIG SOUL (KIOON) CD
http://www.tarosoul.com/

このCDの帯にも書いてあるように、今では客演で引っ張りだこの TARO SOUL のメジャー・デビュー・ミニアルバム。

昔から日本のラッパーに足りないものは歌唱力だと思ってた人間なんで、 TARO SOUL みたいなきちんと歌も歌えてラップも出来るアーティストの登場というのは、個人的には大歓迎なんだけど、彼の場合まだフロウの幅がイマイチ狭いせいか、よくいえばソウルフル、悪くいうと少々くどいヴォーカルなように思うので、全体的にパーティノリの軽い感じでまとめた本作は、なかなか聴きやすくて良いんじゃないかしら。

モロに80年代なシンセの音に思わず仰け反るタイトル曲や、ヒップ・ホップの大定番曲のリメイク “HIP HOP HOORAY 2008” などの曲の間に、お得意のメロウな曲を挟みこんでいてバランスがいいし、韻踏合組合との “ガッデム” では、今の韻踏って意外にこういう華やかなトラックが合うんだなぁ、という新たな発見もあって面白い。

まぁそれでもこれがフル・アルバム・サイズだったらちょっとキツイかも、というのも思わなくはないので、もっとヴァリエーション増やしてくれるといいのですが。

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ditch / precede me ep (op.disc) 12″

ditch / precede me ep (op.disc)
http://www.opdisc.com/

今でこそ日本もミニマル/クリックがテクノの主流といった感じですが、2000年代前半の、それこそ『clicks & cuts』の頃とかって、日本での反応って結構冷ややかなものだった印象があります。しかしそんな中でも作品を発表している人というのは少ないながらもいて、 vauxhall 44 なんかは日本人としてはかなり早い段階でアルバムを出していた人だと思うし、 MONTAGE も別名義の BERGBAHN でミニ・アルバムを出したのも、比較的早い時期だったのではないかと記憶しています。そしてその少しあとに Nao Tokui の『MIND THE GAP』があったりするわけなんですが、そのどれもが日本のトラック・メイカーにありがちな音の細さを感じさせるもので、正直クラブ・トラックとしては非常に物足りないものでした。

まぁ日本人の作るトラックは線が細い、というのは、それこそテクノとかヒップ・ホップ聴き始めた時からずっと思ってたことではあって、だからこそ、 ditch の初のアナログ・リリースだった『Kimidori EP』の、海外のものと比べても全く遜色のない、見事な音作りを初めて聴いた時は結構衝撃的でした(まだ海外からリリースするミニマル系の日本人って少なかったしね)。

そんなことがあったんで、自分の中では ditch というのはなかなか印象深い人なんだけど、『Kimidori EP』でのミニマルさとはまた別の魅力を、彼は op.disc ではみせてくれているように思います。

ということで前置きが長くなりましたけれども、昨年のアルバム『ditch weed』からのアナログ・カット。当初の予定だとアルバム発売前に出るはずだったんだけど、なぜか1年遅れてのリリースになります。

デビュー時から一貫している、柔らかいキックの質感はそのままに、非常に多くの音を用いながらも、それをすっきりと、しかしふくらみのある音に仕上げているのはアルバムと一緒。しかし、細かく刻むベースと不穏な上モノでもって、高い緊張感を持続させる “oaob4” 、しなるようなリズムが非常にダンサブルな “jap” 、微妙な音のずれによってファンキーなグルーヴを作り上げている “found” と、どの曲も素晴らしかったアルバムに負けず劣らずの質の高さ。
そしてもう1曲、アルバムの冒頭を飾っていた “mysterious hoze” が収録されていて、まぁアルバムのヴァージョンを全く同じではあるのだけれど、この曲は何度聴いても名曲。彼の作品の中でもかなり音数の多いリズムの上で、深く響き渡るピアノの音と、ヒラヒラと舞い踊るようなギターの対比が素晴らしくて、何回聴いても全く飽きさせない。

まぁあえて難をいうならば、アルバムの世界と同一すぎる気もするんだけど、元々アルバムの先行シングルの予定だったんだから、それはしょうがないというものでしょう。あとは確かもう1枚シングル出す予定だったはずなので、そちらも早く出してほしいところですが。

Ditch - precede me - EP

Marc Houle / Sixty Four (m_nus) mp3

Marc Houle / Sixty Four week 1Marc Houle / Sixty Four week 2Marc Houle / Sixty Four week 3Marc Houle / Sixty Four week 4

http://www.m-nus.com/

Magda と Troy Pierce (秋に Louderbach アルバムだって!キャー!!)の3人で Run Stop Restore として活動する、という説明があまり意味を成さないくらい単体での活動が目立っている、 Marc Houle の連作シングル。

m_nus というと、どうしても沈み込むようなアシッド・ミニマルという印象が強いんだけど、今作はジャケットからして今までとずいぶん雰囲気が違いますね。
そして内容の方も、従来の m_nus の緻密な印象を与えるトラック郡に比べると、あまり作りこみを感じさせない大雑把な作りになっていて、これが予想以上に良い。ほとんどの曲がスカスカなリズムと、アシッドともブリープとも似て非なる電子音で組み立てられていて、展開もエフェクトで音を歪ませる程度という、非常にシンプルなモノながら、上モノであったりベースラインなどに、こちらの耳を一瞬でつかんで離さない強烈なつかみがどの曲にもあって、聴いていてとにかくアガる。

思えばハードミニマル全盛の時って、アイデア一発勝負みたいなシングルが結構あったような気がするんだけど(user とか)、今作にはそういったものに近いざっくりとしたノリが感じられて、懐かしさとともに、非常に新鮮に聴けました。必要以上にベースを強調しなかったのも良かったように思います。

因みにヴァイナル派の方には、4枚全12曲の中から7曲抜粋したダブルパックがもうすぐ出ます(私の好きな曲がことごとく入ってないので買わんけど)。

METALLICA / DEATH MAGNETIC (UNIVERSAL) SHM-CD

METALLICA / DEATH MAGNETIC
http://www.metallica.com/

私が今まで聴いたことのあるメタルのバンドの中で、もっとも偉大なバンドだと思うのは METALLICA なんですが、その理由は単純で、『Kill ‘Em All』というアルバムを作ったから。では『Kill ‘Em All』の何をそんなに評価しているのかというと、あの殺気にも近い緊張感であったり勢いなんですね。

そういった意味では前作の『St. Anger』って自分の中では非常に評価の高い作品なんだけど、その後のライヴでは昔の曲のオンパレード、挙句の果てには『Master of Puppets』の完全再現(過去記事)なんかしたりして、『St. Anger』でせっかく掴んだものを自ら手放しているような印象さえ抱いたものでした。

そして前作から5年ぶりとなる『DEATH MAGNETIC』は予想通りの原点回帰作。なんでもプロデューサーの Rick Rubin の提案だったようで、「変化を求めるあまり、自分の得意なものを避ける必要はない」っていうのはそのとおりだと思うんだけど、じゃぁ今の自分たちに昔みたいなことが出来るかっていると、それはまた全然別問題なわけで、精神的にも年齢的にも、また環境的にも昔の METALLICA になど戻れるはずがない。そこを『LOAD』『RELORD』で学んだ現代的な方法論と、独特すぎる音作りで補完してみせたのが『St. Anger』だったのに、それを捨てて体裁だけ繕ってみても、そんな作品は退屈なだけ。

個人的には、『LOAD』『RELORD』で垣間見せた、 James Hetfield の歌ものシンガーとしての魅力に焦点を当てた作品を作るのが、バンドの方向性としては一番自然なように思えるんだけど、それはそれで予定調和すぎてつまらないのかもしれないし、かといって本作はメタルとしては角が立ったところがなさ過ぎる。

まぁ私は1枚目が最高、評価の高い2枚目と3枚目はその1枚目の残り香で何とか体裁を保っただけ、と考えているかなり極端な人間なんで、普通に METALLICA 聴いてる人の実感とかなりかけ離れているのは間違いないんだろうけど、それでもこの作品が絶賛でもって向かえらるのって、それこそ予定調和の極みのように思えるのだが。

Metallica - Death Magnetic
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つじあやの / COVER GIRL 2 (JVC) 2CD

つじあやの / COVER GIRL 2
http://www.tsujiayano.com/

ウクレレ片手にデビューしたつじあやのも、もう活動暦10年ですか。早いもんですね。そんな彼女のカヴァー・アルバム。

カヴァーというものに一体何を求めるのか、というのはもちろん人それぞれ違うんだろうけれど、その中の一つに、どう意外性をもって楽曲を再解釈するのかというのがあると思うのですが、そういった意味での面白さは、このアルバムに関してはほとんどない。

スタジオ録音の『tokyo side』、フィールド・レコーディングの『kyoto side』の2枚組みで、『tokyo side』の方はスタジオで録ってる分、アレンジで多少の色づけはなされているものの、両盤とも基本的にはつじあやのの歌とウクレレが基本になっていて、見事に彼女の歌になっている。でもその分一つの色に染まりすぎていて、やや単調な感が否めないんだよね。
曲単体では全然文句ないんで、あとは要所要所で意外性が盛り込まれていたら、アルバムの印象は全然違った気がするのですが。

でもきちんと自分のものに出来ている分、最近巷に溢れ過ぎている糞カヴァーよりはるかに良いのは間違いないんだけど。

つじあやの - COVER GIRL 2
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GIRL NEXT DOOR / Drive away (avex) CD

GIRL NEXT DOOR / Drive away
http://girlnextdoor.jp/

個人的にはデビュー作『偶然の確率』(過去記事)がツボだった GIRL NEXT DOOR の、矢継ぎ早の2枚目。

イントロの今時ないくらいトランスっぽいシンセに思わず仰け反りそうになるんだけど、歌が始まってしまえば、やっぱり avex な王道 J-POP 。前作同様まさに既聴感のみで構成されたような曲なんだけど、こちらの方がテンポが速い分、不健康なまでに健康的な躁状態、とでもいいたいような感覚が強くて、こういうのには逆らえないんですねぇ。同じ応援ソングでも、こういう病的な方が私は好きです。

あと今作も avex のいつもの例に漏れず、リミックスが2曲ほど収録されてるんですが、こういうのって、一体どういう層に向けて作ってるんですかね。昔近田春夫が「クラブで使える」みたいなこと書いてた気がするけど、ホントに現場で使ってるとは思えないしさ。せいぜい使ってても「申し訳」とかその手のでしょ。そういうのがそれ程需要があるとは思えないしなぁ。まぁこういう avex のリミックスだけでカッコいいミックス作れる人がいるのなら、ぜひとも聴いてみたいところではありますが。

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EXILE / The Birthday ~Ti Amo~ (avex) CD

EXILE / The Birthday ~Ti Amo~
http://exile.jp/

何気に EXILE ってまともに聴くの初めてなんだけど、なんでも彼らの28枚目のシングルなんだそうで。

どうも EXILE って、頭剃り上げたいかつい兄ちゃんが甘い声出してるのが気持ち悪くて、イマイチ好きになれないんですが、 CD だと当然音だけで映像がないので、そうやって聴くと意外に悪くないですね。

まず1曲目の “Ti Amo” は、いかにもといった感じの甘いラブ・バラード。歌詞では不倫という関係の中で、葛藤する主人公が描かれてるんだけど、惜しいのは女性視点の歌なんだよね。これで男が妻と恋人の間でウジウジとしまくるような歌詞だったら、私の好きなダメ男 R&B なんだけどなぁ。でも悪くないです。

2曲目はベスト・アルバムからのカットらしくて、それに VERBAL のラップを乗せたもの。シャンプーの CM で使われてる曲ですね。でもこの曲はどうでもいい感じ。

そして問題なのが3曲目の “24karats” 。以前 SoweluDOBERMAN INC と組んで出した曲のヴァージン違い。
私は韻踏合組合、中でも OHYA が好きだった人間なんで、 DOBERMAN INC ってずっと避けてきたんだけど、色んなところでラップが上手いという文章を見ていたし、最近の Bach Logic の出世ぶりもあるので、けっこう楽しみにしてたんだけど、う~ん、これって上手いっていうのかなぁ。私には単なる没個性にしか思えないんだけど。まぁ華やかなこの曲には合ってるかな。

4曲目は何故かデビュー曲 “Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~” の再録。昔からこの曲ってどこがいいのか分からないんだけど、それは今回の再録でも変わらず。っていうか昔のヴァージョンとどこが違うのか分からん。

なんか文章にしてみるとけなしてばかりになってしまいましたが、これでも楽しめた方なんですよ。まぁ期待値が相当低かったしね。さすがにこれがアルバムとかになるとキツイけど。

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TV On The Radio / Dear Science (Geffen) mp3

TV On The Radio / Dear Science
http://www.tvontheradio.com/

多分 The Strokes がデビューした辺りからじゃないかと思うのですが、世間で話題になってるロック・バンドを聴いてみても、一体どこがスゴイのかまったく分からないんだけど、このアルバムもそうですかね。

メロディはキャッチーでどれも良く書けてるし、ファンキーな演奏もカッコいい。ポップなロックとしては素直に盛り上がれる良いアルバムだとは思うけど、これで世界の最重要バンドバンドみたいないわれ方しちゃうと、それはちょっと違うんじゃないかなと。それと聴く前は、もっとジャンルのごった煮的なのを想像していたので、そういった意味でもちょっと肩透かし。

まぁそれでも悪いアルバムだとは全然思わないので、あとはヴォーカルの人が、イギリスっぽい抑揚ありすぎる歌い方じゃなくて、もっと太い感じになると、さらに私好みになるのだが。

TV On the Radio - Dear Science (Bonus Track Version)
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