Arctic Hospital / Neon Veils (LANTERN) CD

Arctic Hospital / Neon Veils (LANTERN)
http://arctichospital.naritarecords.com/

前作『CITYSTREAM』(過去記事)が大傑作だった Arctic Hospital こと Eric Bray の2枚目のアルバム。

その前作は、下手したらガチャガチャしかねないくらいの音数を、すっきりとした音像で聴かせたダブ・テクノでしたが、今作はさらに使っている音数自体減ったので、全体的にかなりすっきりした印象を受ける。

それは言い換えればシンプルになったともいえるんだけど、それゆえに彼の音作りの妙というものがよく分かるようになっていて、その金属的でありながら透明感のある音色の個性は、一層磨かれている。

しかし前作のインパクトに比べると、若干地味な印象なのも事実で、そこはやはり何か新機軸がほしかったところですかね。まぁ私は好きだけど。

試聴
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PAN SONIC / KATODIVAIHE/CATHODEPHASE (Blast First Petite) CD

Katodivaihe/Cathodephrase
http://www.blastfirstpetite.com/

少し前に来日中止が発表されて残念無念な PAN SONIC が、恐怖の4枚組みアルバム『Kesto』から約3年ぶりに発表した2007年作。

この作品に関しては、こっち方面にお詳しい方からすると色々とあるんでしょうが、そういうの疎い私からすると、とにかくノイズの快楽の一点に尽きますね。

一般的にミニマル・ミュージックの文脈で語られることが多い PAN SONIC ですが、この作品からはそういった面はあまり分かりやすい形では刻み込まれておらず、ダブステップからの影響が伺えるリズムや、チェロを使った曲など、彼らにしては曲のヴァラエティは豊か。
しかし多くの曲で共通しているのが研ぎ澄まされたノイズの快楽で、その暴力的な響きは非常に荒々しいものながら、同時に丹念に磨かれたかのような美しさも纏っている。

まぁ個人的には『Aaltopiiri』の冒頭の曲のような、ミニマルな四つ打ちをもっとやってほしいんだけど、このアルバムはこのアルバムで非常に魅力的。王者の貫禄さえ感じられる作品です。

L’Arc~en~Ciel / KISS (KI/OON) CD

KISS
http://www.larc-en-ciel.com/

一応連休なんで(もう3日目だけど)紹介しそびれていた盤について、つらつらと書いていきたいと思います。

ということで、L’Arc~en~Ciel のメジャー10枚目のアルバム。2007年の11月に出た作品なので、もう1年半も前の作品ですか。

この作品に関しては、私の見た限りだと非常に好意的な意見が多く、中には最高傑作とするものも少なくなかったように思うんだけど、個人的には買った当時も、そして今聴いてもイマイチなアルバムですかねぇ。
このアルバムの前作に当たる『AWAKE』に関しては、その年の年間ベストで1位に挙げたほど好きなアルバムだったんだけど、あのアルバムの良さは、その実験性と大衆性の絶妙なバランス感覚に寄るところが大きかったわけです。
しかし今作は、そこから大きくポップ寄りに傾いた作品になっていて、さらにそのポップさというのも、あくまで L’Arc~en~Ciel の中でのポップさであって、どうも突き抜けた感じがないためか、全体的に焦点のぼやけた作品になってしまっている。

まぁそれも私のこのバンドに対する期待値の高さからくる意見なので、作品自体の質は全然問題ない出来だとは思うんだけど、やはり彼らにはもう一捻り欲しいところ。
あとは現在のソロ活動が、バンドにどう還元されるかですかねぇ。

[曲目]