JESSE SOMFAY / Amaranthine Reverie (ARCHIPEL) 2LP

JESSE SOMFAY / Amaranthine Reverie (ARCHIPEL)
http://contemplation.archipel.cc/

先頃『A Catch in the Voice』なるアルバムを出したばかりの Jesse Somfay のダブル・パック。発売されたのはどうやら去年らしいんだけど、私が買ったのは今年。しかも例によってしばらく放置していたという。まぁそんな話はいいですね。

Jesse Somfay というといつも出てくるのが border community からの影響で、実際彼の音源を聴けば、そのシューゲイザーからの影響色濃いミニマルは、 border community との比較が避けられないような作風ではある。
しかし最近はほとんど活動もなく、停滞気味に思える border community に比べると、マイペースながら作品を出し続けている Jesse Somfay には、かなりノイズ成分の強い上モノの生み出す恍惚感であったり、極端に歪ませた低音の荒々しさであったり、 border community とはまた違った面白さを感じることが出来る。
さらに書くと、何だかんだできれいにまとめたがる感じの border community の連中と違い(holden は別だけど)、 Jesse Somfay の作り出す音世界は非常に混沌としたもので、意外にこの両者は似て非なるものなのではないでしょうか。

っていうのがこのシングル聴いていただくと分かるんじゃないかしら。まぁいずれにしろかなりの傑作です。

Somfay - Amaranthine Reverie

wyolica / Balcony (SME) CD

Balcony
http://www.wyolica.net/

azumi と so-to による二人組、 wyolica のミニ・アルバム。間に azumi のソロなんかもあったけど、前作からなんと5年ぶりの作品なんだそうで。

しかし今作は、そんなご無沙汰感など全く感じさせない、非常に wyolica らしいアコースティック・ポップが多く収められている。
なので彼女たちの充電期を経ての新境地が聴こえる、という類のものではないため、特にこれといった面白みのない作品ではあるのだけれど、5年振りともなれば自分たちの基調となる部分を聴かせたいと思うのは自然なことだろうし、それ以上に azumi の柔らかな歌声は変わらず魅力的。
中でも四つ打ちの上で伸びやかに歌う “カレイドスコープ” に続いて、ゆったりと情感を込めて歌う “恋文” への流れは彼女の良さが分かり易く出ているし、冒頭のさらりと歌われる “星” もとても良い。

まぁそれでも7曲入りのミニ・アルバムでは食い足りない感じはあるんだけれど、とりあえず wyoloca の帰還を素直に喜びたい。

Rei Harakami / ゆうげ selected re-mix & re-arrangement works 2 (Music mine) CD

ゆうげ -selected re-mix & re-arrangement works / 2
http://www.myspace.com/reiharakami

こちらは2001年以降の Rei Harakami のリミックス音源などをまとめた盤。
『あさげ』の方に比べると、グッとポップ、ロック方面の仕事が増えているところに、彼の立ち位置の変化が見て取れて面白いですね。

ということでこの『ゆうげ』に収められた曲はほとんどがヴォーカルの入った曲なんだけど、ヴォーカルの色を消すことなく、それでもきちんと Rei Harakami の個性を出しているのはさすがですね(Number Girl はやっぱり無理やり感があるけど)。
中でも GREAT 3 の “Oh Baby Plus” は、バンドの音と電子音の双方が作用しあって世界観にふくらみを持たせていて、これはかなり素晴らしいんじゃないかしら。
他の曲に関しても、リミックスよりもプロデュース曲が多いせいか自然にまとまったものが多く、『あさげ』のような新鮮味は薄いけれども、作品としても収まりはこちらの方が良い。

まぁ両方とも、次作までのつなぎとしては十分な作品かなと。

[曲目]

Rei Harakami / あさげ Selected Re-Mix & Re-Arrengement Works 1 (Music mine) CD

あさげ - selected re-mix & re-arrangement works / 1
http://www.myspace.com/reiharakami

2枚同時発売された Rei Harakami のリミックスを中心とした編集盤その1。
こちらは2000年ごろまでの音源を纏めたものだそうで、だからなのかクラブ系のアーティストのリミックスが多いですね。

Rei Harakami っていうと、あの丸みを帯びたシンセの音が強烈な記名姓を持っている上に、同時にその音色がノスタルジックな響きなので、こうやって数年間の音源を並べてみても特に違和感はない。

そして Rei Harakami という人は作品ごとに劇的な変化を見せるような類のアーティストではないのだけれど、やはりリミックスともなると原曲のアーティストの色も多少出るためか、普段の彼とは違う面を聴くことが出来てなかなか新鮮(まぁほとんどの曲は原曲の音使ってるのか?、って感じなんだけど)。
あと時代が後になればなるほど、音の自由度が増しているように思えるのは、クラブ系などという余計な括りを意識しなくなったということなんでしょうか。

[曲目]

マイクアキラ / THE RAP IDOL (P-VINE) CD

マイクアキラ / THE RAP IDOL (P-VINE)
http://micakira.jugem.jp/

昨日紹介した MICROPHONE PAGER に続いて、 LUMP EYE も再結成ですってね。もうベテランは昔の威光に頼らないとやっていけないということなんでしょうか。

元四街道ネイチャーのマイクアキラのソロ・アルバム。

色んな人のラップを聴いていると、当然のようにラップのスキルがイマイチな人というのもいっぱいいるわけなんですが、このマイクアキラの場合、それ以前に発声そのものが不安定すぎて、正直気持ち悪くて聴いてられないんだよね。同じように歌うようなラップのスタイルのなのるなもないと一緒にやった “Be Myself” なんかは、そのヴォーカリストとしての地力の違いがあまりにも明確に出ていていたたまれないくらい。
しかしそんな彼を慕って今作にはたくさんのラッパーが参加しているわけで、そこはやはり彼の人柄の良さゆえなんだろうなぁ、と思わせる独特のゆるさが全編漂っていて、回数聴いているうちに彼のヘタウマ、というより単に下手なラップもそれほど気にならなくなってくる。これが味があるってやつなんでしょうか。

まぁ彼の人柄云々というのは置いておいても、全体的に隠居していたベテランを若手が盛り立てる、みたいなつくりになっているので、それが全体のほのぼの感につながっているのは間違いないし、これだけ普段とがった連中が集まっているのに、ポップな仕上がりになっているのも面白いし、そこはやはりマイクアキラの個性ということなんでしょうか。

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MICROPHONE PAGER / 王道楽土 (NIPPON CROWN) CD

MICROPHONE PAGER / 王道楽土 (NIPPON CROWN)
http://www.myspace.com/microphonepager2009

更新が滞っていたので発表から時間がたってしまったのですが、 COMPASS が閉鎖ですってね。
まぁこの発表の前からなんとなく流れは出来ている感じだったので、それほど驚きはしませんでした。
しかしこの閉鎖という事実以上に残念だなと思うのは、掲示板を中心にあれだけ COMPASS に対して文句いっている輩が大勢いたのに、「じゃあ COMPASS 終わるんなら、オレがもっと凄いサイト作ってやるよ」みたいな声が、全くといっていいほど無い事なんですよね。
そもそも COMPASS って掲示板に集まっていた人たちが、 blast 終了に伴い、自分たちのメディアがなくなることへの危機感から立ち上げたサイトだと思っているんだけど、そんなサイトに対して一家言あるというのならば、掲示板なんかに罵詈雑言並べ立てるだけではなく、もっと建設的なカウンターとしての動きがあっても良かったとおもうし、またそれと同様に、 COMPASS に同調する動きがあっても良かったとおもうんだけどね。
まぁ COMPASS がそれだけの影響を持ったメディア足り得なかった、といわれればその通りなんだろうし、そういった周りを巻き込んでいくような空気を作れなかったのが COMPASS の閉鎖の一因かなと思わなくはないんだけど、それはそれとして、やっぱり自分の巣穴で餌待ちながら口開けてピーチクパーチク鳴いてるだけの奴等が多すぎるんだよ。だってヒップ・ホップって元々 DIY な音楽なんじゃないの? もうちょっと自分のリスナーとしてのあり方を考えるべきだと思うんだけどね。

これ以上書くと話がそれすぎて、音盤紹介書く気が無くなりそうなので、このくらいにしときます。

ということで、今年の頭に出た Twigy と Muro による MICROPHONE PAGER の再結成盤。

このアルバムについては識者の方々が非常に面白い指摘をしていますが、あまり知識のない私からすると、ハーコーな方々の同窓会と、それを囲む若い衆、くらいの意味しか感じられない盤ですかね。

トラックリストを見てもらえば分かるように、せっかくの再結成盤であるにもかかわらず、 Twigy と Muro の二人の存在感を掻き消すほどの人数のラッパーが参加していて、これは要は、二人からハーコーなラッパーとしてのお墨付きを貰ったということなんでしょう。
しかし今作に参加したベテランの、安定感はあるものの面白みにかけるラップに比べると、非常に個性豊かな若手(と書くと語弊があるかな)のラップを聴くにつけ、ベテランが若手にお墨付きを与えたのではなく、若手がベテランを見捨てられないように足掻いているだけなんじゃないか、という考えが頭をよぎるし、今作でも抜群の存在感を発揮している SEEDA と ANARCHY 参加曲(”MP5000FT”)がなかったら、今作の印象は随分と違うものになっていたのではなかろうか。

とはいってもベテランの中でも気を吐いている人は何人かいて、中でも D.L は、鬼気迫る、と表現したくなるほどの凄みを発していて、とても昔「さすれまんこ」とか言っていた人と同一人物とは思えません。

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KAIKOO Vol.11

KAIKOO Vol11
KAIKOO Vol11

今までイベントなりライヴなりに行ったときは、いつもの記事の枕として書いていたのですが、それもちょっとあれなんで、単独でカテゴリー作ることにしました。
まぁだからといって、今までに比べ詳細を書いた記事になるかというと、そんなことはないと思いますが。

ということで、昨日は渋谷の asia で行われた KAIKOO に行ってまいりました。

今回の KAIKOO は来月大阪で行われる大阪乱遊祭の前哨戦的な位置づけのものだと思うんだけど、そうはいってもこちらはこちらで十分豪華なラインナップになっていて、中でも楽しみだったのがやはり SD JUNKSTA
しかし彼らは同じ日に自分たちのパーティーである SAG DOWN もあるので、当然出番は早いんだろうと思い、渋谷についてのが11時。そしたら asia の前にちょっとした行列が出来ていて、軽く帰りたくなる。さらにやっと入れると思ったら、今までされた事がないような入念なボディ・チェックをされて、本格的に帰りたくなる。

とはいっても無事中には入れたので、一直線でメイン・フロアに。そしたらフロアはガラガラ。最初予想以上の人が来て行列ができてんのかと思ってたんだけど、なんのことはない、ボディ・チェックのせいで入場に手間取ってただけなのね。

しかし私がフロアに入ったとき、 SD JUNKSTA の曲がかかっていたので、これは頭から SD JUNKSTA に違いないと思い、ステージまん前にかぶりつく。でもこれもよくよく音を聴いてみると、 SD JUNKSTA の曲というわけではなく、今度 DJ BAKU が出す日本のヒップ・ホップのミックスCD流してただけみたい。

んで程なくしてスモークが焚かれた後、トップ・バッターとして出てきたのは、やはり SD JUNKSTA ではなく、私の全然知らないバンド(なんでも oak というバンドだそうです。中心人物が元 walrus というのを知って、甘酸っぱい気持ちになるのは私だけでしょうか)。
1曲目がいきなりアブストラクトを通り越して、まんまドゥーム・メタルになったような曲だったので、今の日本のヒップ・ホップ・ヘッズはすごい音楽を聴くんだなぁ、と感心していたんだけど、それ以降はハードコアとダンス・ミュージックを掛け合わせたような、わりとありきたりなタイプの曲が続いて、まぁ全然悪くはないんだけど、もう少し個性がほしいかなぁ、というバンドでした。

そして次に出てきたのが、待ってましたの SD JUNKSTA 。しかし出てきたのが NORIKIYO と BRON-K の二人だけで、一瞬だまされた、という気持ちでいっぱいに。しかし曲が進むにつれ OJIBAH 、 TKC 、 WAX 、 KYN とMCが増えていって一安心。
んで肝心のライヴの内容の方は、さすが自分たちのパーティを定期的に開いているだけあってライヴ慣れしていて、やった曲はソロの曲がほとんどながら、タイプの違うそれらの曲を、ステージ上でものの見事に SD JUNKSTA 流パーティ・ミュージックに収束させていて、楽しいの一言。しかしステージにはMCが6人いるのに、マイクが5本しかないせいで、常に誰か一人所在無さげにしていたのは笑った。

最後に NORIKIYO が「次は中野の白鳥」みたいなこと言って去ったので、次は当然 BES 。去年でたアルバムは随分と暗い内容だったので、ライブでは当然 Swanky Swipe も混ぜてくるんだろうと思っていたんだけど、実際には律儀なまでにアルバムからの曲のみで構成されたライヴ。しかしこの辺になると、ヴォーカルの音量レベルが高すぎて、正直何言ってるかよく分からず、ライヴ自体もよく分からないものに。でもあれだけ暗いと思えたアルバムの曲も、ライヴでやるとけっこうヒップ・ホップの王道感を備えたものに聴こえて、その点は新鮮でした。あと曲間のしゃべりがいちいち面白い。

次に出てきたのは私の知らない人。でもバックDJが「ICHIMIYA」と書いてあるTシャツを着ていたので、stillichimiya の人なんだろうとは思っていたんだけど、あれが田我流だったのかな。とりあえずスタイルとしては比較的オーソドックスなものながら、常に全力投球なラップには好感持てました。

なんか気がつけば記事が長くなってきたので、ここからは駆け足で。

次はSHINGO☆西成。基本的に黒を基調にした格好の人が多かったこの日の出演陣の中でも、赤い革ジャンに首からスニーカーをぶら下げた格好は明らかに異色。しかしその見た目に負けないエンターテインメント性に溢れたライブで、楽しさでいえばこの日一番だったかも。あと声が太いのでラップが聞き取りやすかったです。

そして見た目が異色だったのがSHINGO☆西成なら、音的に異色だったのが太華&誰か!?。その誰かというのは RIZE の KenKen とタップダンサーで、そこに太華のビートボックスという変わった構成でのセッション。まぁその面子が出てきたときの期待感に比べると、実際に鳴らされた音に意外性はなかったものの、タップダンサーの視覚面でのダイナミックさも相まって、十分に面白い内容でした。

そのセッションの最後に RUMI が参加した曲をやったんだけど、そのまま RUMI と SKYFISH のライヴ。しかし先程書いた、私には音量がでかすぎたのと、 RUMI のキンキン声が合わさって脳みそが揺れだしたので、フロアの後方に待避。なので正直あまり楽しめませんでした。

その後 SKYFISH 、 DJ BAKU のDJが続いた後、 DJ BAKU と般若。とにかくね、般若の人気ぶりに驚いた。他の人のライヴでも終始盛り上がっていたとは思うんだけど、般若のときは盛り上がりが桁違い。しかもライヴの途中に asia のブレイカーが落ちるというアクシデントがあったんだけど、その間もアカペラでフリースタイルやったりして場を盛り上げ続けていて、あらゆる意味で圧巻のライブでした。
最後には期待通り RUMI を加えての、グループとしての般若の再結成も見られて、もう大満足。

この後の DJ BAKU のバンドをバックにした漢も負けずに盛り上がっていて、作品を出していないにもかかわらず、未だ衰えない支持の厚さをすごいとは思ったものの、バックの音があまりにもロック然としているのに急に興ざめしてしまい、この日はこれで退散。

というわけで、最後はちょっとイマイチ感のあるものではあったのだけれど、総体的には非常に満足度の高い、かなり良いイベントでした。まぁラップのイベント行くと、いつもラップの音量がでか過ぎて脳みそが揺らされるので(マジで一瞬意識が飛ぶことも何度か)、これはPAの問題なのか私の体の問題なのか、とりあえず対策を講じなければなとは思うんだけど、次回も行きたいと思わせるには十分なものでした。
やっぱりもっと現場行かなきゃだめだなぁ~。

ROCK’A’TRENCH / My SunShine (Warner) CD

ROCK'A'TRENCH / My SunShine (Warner)
http://rockatrench.com/

最近の日本のバンド系の音を聴いていると、 Mr.Children の影響力の大きさをものすごく感じるんだけど、このバンドの6枚目のシングルの表題曲も、一音鳴った瞬間にそんなことを考えさせてくれる。しかしそれは一瞬であって、以降は劣化が酷くて正直聴いてられない。
2曲目の “Stepping out” は、こちらはサザンを連想させるスカ・ポップで、こちらの方が表題曲よりは幾分マシながら、ヴォーカルの線の細さはいかんともしがたい。
3曲目の “April” は、ヴォーカルの声質もあってか、少し Firehouse を思わせるミドル・バラード(いや、こんな例え誰も分からないんだろうけれども)。こちらも箸にも棒にもかからないような平凡な演奏とメロディ。

なんか最近のバンド聴いてると、自分との肌の合わなさに、軽く鬱になりそうです。

試聴

Perfume / ワンルーム・ディスコ (TOKUMA JAPAN) CD

Perfume / ワンルーム・ディスコ (TOKUMA JAPAN)
http://www.amuse.co.jp/perfume/

なんか先月から続いていたいい更新ペースが一気に崩れてしまいましたが、またポツポツ記事をアップしていこうかと思います。

Perfume の新曲は、タイトルから分かるとおり Perfume 版 “微笑がえし” みたいな曲。
いや、まぁ同じ引越しの歌というだけで全然違うんだけど、曲の方はいつも通りのエレ・ディスコ歌謡。

プロデューサーの中田ヤスタカによる、聴いた印象はいつも似たような感じでも、そのなかでバリエーションを持たせているメロディは、確かに良く出来ているんだろうけれど、それが面白いかというと個人的にはそうは思えないわけで、そういった意味ではどうしても印象に残りづらい曲。
しかしそのメロディ自体はどうかというと、地味ながらもなかなか美しく、まぁつまり、もって回ったような表現ばかりでしたが、 Perfume の最近の曲では一番好きですね。

カップリングの “23:30” は、ジャジーなアレンジがちょっとした新味を感じさせてはくれるものの、歌唱力に定評があるってわりには肝心の3人のヴォーカルがよたりすぎてて、気持ち悪くて聴いてられん。

試聴

The Foreign Exchange / Leave It All Behind (HARDBOILED) 2CD

The Foreign Exchange / Leave It All Behind (HARDBOILED)
http://www.theforeignexchangemusic.com/

先週末にPCのセキュリティ設定いじったらネットにつながらなくなったり、その後は風邪でダウンしていたりと何だかんだで1週間以上の間が空いてしまったのですが、またゆるりと音盤紹介を再開したいと思います。

ということでまず最初はゆるめに、オランダのトラック・メイカー NicolayLITTLE BROTHERPHONTE によるユニット The Foreign Exchange のセカンド・アルバム。
私のよく行くツタヤの日本のヒップ・ホップのコーナーにあったんで借りてみたんだけど、全然日本のアーティストじゃないっていうね。

LITTLE BROTHER といえば一時期のアメリカのアンダーグラウンド・ヒップ・ホップのメロウ化を一気に推進した人たち(まぁ正確には 9th wonder か)という印象が強いのだけれど、今作も日本ではあまり聴かれないくらいメロウな R&B で、前作と違いラップはほとんど聴くことが出来ない。
しかし歌モノが中心になったからといって、単なる売れ線にはしった作品なのかというとそうではなく、トラックにおいてもメロディにおいても過剰さを抑えた非常にさり気ないつくりになっていて、それでいて悲しみがゆっくりと沈殿していくような感覚が心地よい。ここら辺悲しみの押し売りみたいな日本の同路線のアーティストに比べると、センスの良さが窺える。
中でもギターの鳴りが素晴らしい “Take Off The Blues” 、淡々と進むがゆえに逆にメロディの良さが際立っている “I Wanna Know” 、 Stevie Wonder のカヴァーである “If She Breaks Your Heart” (4HERO の MARC MAC が参加)は本当に美しいし、そんな中異色とも思える、西ロンっぽい “Sweeter Than You” もいいアクセントになっている。

また全体を通して情景が浮かんでくるような適度に隙間のある音作りも素晴らしく、こういった点でもやはり、日本のアーティストからはあまり感じられない成熟さを持った作品だ。

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LP1枚

Ben Klock / One

今週は開店休業状態が続いておりますが、土曜日辺りからぼちぼち音盤紹介は頑張ろうかと思います。

LP1枚

Antony and The Johnsons / THE CRYING LIGHT

因みに明日も amazon から来る予定。一緒に送れっていうの。

LP1枚、12インチ6枚

ARGENIS BRITO / IMMINENT
MICHEL CLEIS & SALVATORE FREDA / UVA FRAGOLINA
MICHEL CLEIS / LA MEZCLA
MATT JOHN / RADIO SELF
STEFAN GOLDMANN / ART OF SORROW
OSBORNE / HOVER CRAFTING EP
AUDIOLOGY / KLEINSCHMAGER AUDIO

Masomenos / Froggy Ep (WELCOME TO MASOMENOS) mp3

Masomenos / Froggy Ep (WELCOME TO MASOMENOS)
http://www.welcometomasomenos.com/

そういえば最近 wagon repair 紹介してねぇなぁ、なんて思ったりもしたんだけど、そんな事には気付かぬ振りして Masomenos 4枚目。
イマイチだった前作の代わりというわけではないんだろうけれど、今作は3曲とも充実している。

まず1曲目の “Ohaoo” は、前作のリベンジとばかりにまたもやパーカッシブ・ミニマル。しかし前回の自分たちの方にパーカッシブ・ミニマルを引き寄せたような感じとは逆に、この曲では真正面からパーカッシブ・ミニマルに取り組んでいて、それゆえに彼らの音作りの妙が活きている。中でも時折鳴るギターがいいアクセントになっている。まぁもしかした共作している Chris Carrier のおかげなのかもしれないけど。

そして今回のシングルの中でも一番強烈なのが次の “Captain Japan” で、日本のSFか何かからサンプルしたと思わしきナレーションも非常に印象的なんですが(キャプテン・フューチャーが何とかかんとか)、それよりもどっしりとしたダビーなベースラインの上で鳴る、ハイハットとエレクトロニクスの絡みが幻惑的で、ネタモノでは終わらない存在感がある。

3曲目の “Smooch” はベースがグルーヴィーなミニマル・ハウスで、使い勝手は良さそうながらも正直地味な曲で、しかしキャラの立った2曲の後としては、なかなかに収まりがいい。

Masomenos - Floppy - EP

Masomenos / Croco EP (WELCOME TO MASOMENOS) mp3

Masomenos / Croco EP (WELCOME TO MASOMENOS)
http://www.welcometomasomenos.com/

Masomenos さん3枚目。
1枚目、2枚目と微妙に作風を変えてきている Masomenos なんですが、この3枚目も1曲目が今どきのパーカッシブ・ミニマル。しかしこれに関しては、このユニットの薄いレイヤーを重層的に重ねていくような音作りに、パーカッションがイマイチ上手くはまっておらす、ぼちぼちな出来。
それよりは2曲目の浮遊感のあるミニマル・ハウス “Pierre & Le Loup” の方が面白くて、上がるか下がるか分からないギリギリのところで鳴るシンセの、焦らす感じが気持ち悪く気持ち良く、そのくせ後半これといった山場がないまま終わるのも不思議と気にならない。
3曲目の “Cherie” はゆるめのアシッド・ミニマル。これも可もなく不可もなくといった感じで、総体としては、 Masomenos のシングルの中でもイマイチな部類かしら。

Masomenos - Croco - EP

Masomenos / Snarky EP (WELCOME TO MASOMENOS) mp3

Masomenos / Snarky EP (WELCOME TO MASOMENOS)
http://www.welcometomasomenos.com/

フランスのユニット Masomenos の2枚目。

今作は1曲目の “Aftermama’s” の始まりから、硬いキックの音が鳴って良い感じなのですが、そこからやわらかなシンセの音が加わって、疾走感のあるデトロイティッシュなテクノになるのがさらに良い。ちょっと Soul Designer を思わせる感じもあります。
そして2曲目の “Space Flamenco” はマシーナリーなビートが鳴り響くハード・テクノ、3曲目の “Travel Master” は重たいビート中心ながら、そこに時々浮遊感のあるシンセを加えることで違う表情を引き出していているディープ・ミニマルで、それぞれの曲を3者3様に楽しめる秀作。

Masomenos - Snaky - EP

Masomenos / Le Poulet EP (WELCOME TO MASOMENOS) mp3

Masomenos / Le Poulet EP (WELCOME TO MASOMENOS)
http://www.welcometomasomenos.com/

Joan と Adrien による二人組み Masomenos が自身のレーベルから昨年リリースした初シングル。
サイトのほうを見た限りだと、多分カップルでデザインもやりつつ音楽もやりつつ、みたいな人たちみたいです。

この人たちは毎回ジャケットに、おそらく自分達でデザインしたと思われるかわいいイラストをもってくるので、どうしても曲の方もポップなものを想像してしまうのですが、今作はなかなか硬派な作品で、1曲目の “Cot Cot” は重いキックと鋭いシンセの音が徐々に恍惚感を生むテック・ミニマル。そして2曲目の “Giving Feat Chris Carrier” はベースラインこそダビーで重いものながら、音作り自体は非常にスッキリとしているディープ・ミニマルで、両曲とも非常に硬質で機能的なトラックながら、ぎりぎりのところでポップさを失っていないところに、彼らのセンスの良さが窺える。
“Giving Feat Chris Carrier” に深い音響処理をほどこしたダブ・ヴァージョンも秀逸です。

Masomenos - Le Poulet - EP