らっぷびと / RAP MUSIC (EMI) CD

らっぷびと / RAP MUSIC (EMI)
http://www.rapbit.net/

アニメの曲にラップを乗せて話題になったらっぷびとのメジャーからは初のフル・アルバム。

元々この人の面白さって、無許可でアニソンに勝手にラップを乗せる、っていう部分にあったんだと思うんだけど(個人的にはその時から面白くなかったけど)、今作はメジャーからのリリースからということで、当然著作権無視してトラック使うなんて無理なわけで、細かい部分ではどうだか分からないけれど、とりあえず分かりやすいアニメっぽさというのは無い。

では今作はどんな作品なのかというと、彼の陽性の声を生かしたポップな作りになっている。
しかしここまでいっちゃうと、良くいえば突き抜けたポップさを持った、でも個人的には greeeen なんかと大差ないんじゃないかと思えてしまう。
まぁそれでも内容が良ければ全然問題ないんだけど、全編通してらっぷびとの元気のよさだけが頭に残るという、実に困った作品になっている。

なんかさぁ、これに限った話ではないんだけど、最近のヒップ・ホップの人ってポップさを安易に考えすぎなんじゃないですかね。まぁらっぷびとは女性ヴォーカリストをフィーチャーしていないだけマシだけど。

あと調べてみたら、 “リンゴ日和” っていう曲ではアニソンのトラック使ってるのね。まぁアニメっぽい感じは全然ないけど。

らっぷびと - RAP MUSIC
[曲目]

MCU / SHU・HA・RI ~STILL LOVE~ (BMG) 2CD

SHU・HA・RI~STILL LOVE~(初回生産限定盤)
http://www.mcu.tv/

KICK THE CAN CREW という枕詞はもう不必要でしょうか、 MCU の3枚目のアルバム。

未だシーンからきちんと支持を受けている印象のキックの他の二人に比べると、どうもあまり好かれていない感じの MCU なんですが、個人的にはその独自のセンスも含めてラッパーでありまして、このアルバムもすこぶる良い。

彼がキックで上げた知名度にかこつけて、憧れのアーティストと共演した “幸せであるように” はオナニーくさかったし、その後出たファースト・アルバム(過去記事)は、自分のやりたい事とヒップ・ホップとの合わせ方が強引なように思えた。
しかし今作は(2枚目は聴いてないです) MCU の歌謡曲の要素とヒップ・ホップの要素が実に自然に融合していて、ポップにもなりすぎずに、かといってハードコアにもならずに、何とも絶妙な地点に落とし込まれている。
確かに TERU が GLAY のとき以上に感情過多なヴォーカルを聴かせる “STILL LOVE” での始まりには少々ぎょっとするかもしれないが、以降の曲はサビで歌っているような曲であっても、自身の抑えた唱法によって、過度なポップさを感じさせないようにしているし、冒頭の “STILL LOVE” に関しても、 MCU が低い声での抑えたラップにすることで、 TERU との歌の対比を鮮やかにすると共に、 TERU の歌だけだとくどくなりそうなのを回避している。

また馴染みのMCやいとうせいこうを招いた中盤の曲のオールド・スクールなノリは文句なしで楽しいし、チップチューンから風見しんごのカヴァーまで飛び出す後半はもっと楽しい。

また初回に付いているリミックスを中心に収録したボーナス・ディスクにも彼の間口の広さが伺えて、これは今のところ今年聴いたヒップ・ホップの中でも指折りの傑作ではないかと。

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[曲目]

COMA-CHI / RED NAKED (PONYCANYON) CD

COMA-CHI / RED NAKED (PONYCANYON)
http://www.coma-chi.com/

客演で引っ張りだこの女性ラッパー COMA-CHI の2枚目のアルバム。

タイトルに付けられた「Red Naked」といのは「赤裸々」を英訳したものらしいんだけど、では歌詞において聴くべきものがあるかというと、その内容は非常にありきたり。よくあるヒップ・ホップへの愛情であったり、大仰なラブ・ソングであったり、よく分からない前向きさを振りまく曲であったり。そういった中にあって家庭崩壊をきっかけに内に閉じこもっていた過去を吐露する “自傷症ガール don’t cry” は異色ではあるんだけど、具体性があまりないため深みに欠けるし。

しかしこのアルバム自体が聴くに値しない作品かというとそんなこともなく、ポップに大きく傾きながらもよく出来た作品になっています。
そしてその大きな要因になっているのが COMA-CHI のヴォーカリストとしての実力で、この人もともとラップやる前は普通に歌だけやってたみたいなんだけど、ラップが上手くても歌うとヘロヘロになるラッパーが多い日本にあって、その歌唱は他の R&B なんかの歌手と比べても遜色ないものだし、声自体もよく通る伸びのある声で、聴いていて非常に気持ちが良い。
まぁその代わりラップに関してはよく聴くと全然大したことなかったりするんだけど、ヴォーカリストとしての自力が違うので、それもあまり気にならない。

でもボーナス・トラック的に収録されている “B-GIRLイズム” はイマイチですかね。
これはタイトルから分かるとおり RHYMESTER の “B-Boyイズム” を改変したもの。しかしこの曲のトラックって、ブラスのネタ感が強いせいか派手な印象があったんだけど、これって改めて聴くとすごくシンプルなトラックなんですよね。だからその上に特に工夫なくラップを乗せている COMA-CHI のヴァージョンはつまらないというか、こんなシンプルなトラックでもアンセムにしてしまう RHYMESTER はすごいというか・・・。

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[曲目]

Girl Talk / Feed The Animals (Illegal Art) mp3

Girl Talk / Feed The Animals (Illegal Art)
http://illegalart.net/

アメリカ出身の Gregg Gillis さんのソロ・プロジェクト Girl Talk が昨年夏に発表した4枚目のマッシュアップ・アルバム。
私はこの Girl Talk という人はよく知らないんだけど、 In Rainbows の『In Rainbows』(過去記事)と同様言い値でダウンロードできるというので聴いてみた盤です(因みに0ドルで落とした)。

この作品は収録時間50分強の中に250曲以上詰め込んでいるということで話題になったようで、まぁ実際そこまでやるのはすごいとは思うんだけど、それだけ詰め込むということは曲をかなり細切れにしているということでもあって、そうなってくるとかなり展開がせわしなく、流れも何もあったもんじゃないんだよね。だから知っているフレーズが飛び出して瞬間的に盛り上がる場面はいくつかあるものの、全体としては作りこみすぎたプログレ聴かされている様な感じで、のっぺりしていて正直よく分からん。

過ぎたるは及ばざるが如し、っていう言葉そのまんまの作品。

ダウンロード・ページ

Claro Intelecto / Warehouse Sessions (Modern Love) mp3

Warehouse Sessions

イギリスのアーティスト Claro Intelecto が Modern Love から出していたシングル『Warehouse Sessions』のシリーズを時系列に並べた編集盤。

昨年出たアルバム『Metanarrative』(過去記事)はダビーなミニマル・ハウスが中心の作品でしたが、こちらはシングルゆえにフロアでの機能性を意識したのか、重心低めのダブ・ミニマルがほとんど。
私は彼の1枚目『NEUROFIBRO』(過去記事)でのエレクトロから、『Metanarrative』のミニマル・ハウスへの変化が少々唐突に感じられたので、その変化の過程がこのアルバムに見て取れるのではないかと期待していたので、そこはちょっと肩透かし。

しかし内容に関しては不満もなく、重いキックと横揺れのリズムが素晴らしい “New Dawn” 、中盤での美しいアンビエンスが印象的な “Post” などは特に良い。

正直どれも似たり寄ったりの Modern Love の中でも、この Claro Intelecto は独自の個性を発揮しつつありますね。

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