ロシアのプロデューサー Blasta の2009年発表のファースト・アルバム。
ダブステップもずいぶん多様化してきたので、ダブステップといえば暗いもの一辺倒だという印象をもっている人も少なくなってきたのではないかと思うんだけど、それにしても今作のジャケットから受ける印象というのは、一般的なダブステップからは遠いのではないだろうか。
それは音の方も負けず劣らずで、1曲目の “Owl’s Fall” の軽やかなサックスからしてすごくお洒落で、鬱々とした私みたいな人間はそれだけでクラクラしてくるんだけど、それ以降も洗練されたビートと美しいメロディが非常に聴きやすく、印象としては相当ちゃらい。
しかし洗練されていながらも動きのあるリズムはそれだけでとてもダンサブルだし、また何曲かあるヒップホップ/ビートダウンの曲もよく作りこまれていて、全体の完成度はかなりのもの。
つまりポップでいながらも完成度高く、さらに踊れるんだから、もうこれは傑作というほかない。
あと蛇足ながら今作で面白かったのが、ダブステップの人が四つ打ち作ると大抵テクノっぽくなるのに比べ、今作に入っている四つ打ちはファンキー/ベースラインっぽいんだよね。グライムやダブステップ辺りから派生したわりに、ダブステップでファンキーに接近する人って少ないのが常々不思議だったので(Kode9 くらい?)すごく印象的でした。ここら辺は出自の違いによるものなのかな?