Akufen / ZUPTON SON 10 (ZUPTON SON) mp3

Akufen / ZUPTON SON 10 (ZUPTON SON)
http://www.zupton.com/son/

Akufen こと Marc Leclair さんの2012年のシングル。
今作を出している ZUPTON SON というレーベルは初めて知ったのだが、カナダのデザイン会社がやっているネット・レーベルみたい。作品は全てフリーで発表されていて、今まで発表されたラインナップを見る限り、あまり最新の音を追いかけるという感じではなく、そのアーティストの過去の未発表曲を出す事も多い模様。

ということで、今作も新曲ではなく、2008年の未発表曲。2008年というともう4年以上前なのでけっこう昔に思えるが、 Akufen 名義では2003年の『Hawaiian Wodka Party』以降、2012年の『Battlestar Galacticlown』以外の作品は発表しておらず、それ以外の名義のものを含めても、 Marc Leclair 名義でのアルバムや(関連記事)、 Horror Inc. の『Aurore』など数えるほど。またそれはリミックスも同様なので、作品をほとんど発表していない時期の音源として非常に貴重なもの。またさらに書くと、2008年というと Akufen のオフィシャル・サイトがオープンした時期なので、もしかしたらこの時本格的な再始動をしようとしてて作った中の一部が本作なのかな、とか思わなくもないけど、まぁここら辺は憶測の域を出ん。

ということで、 Akufen が何故この時期に過去音源を引っ張り出してきたのかは分からないのだけれど(しかも無料で)、なかなか彼の作品が聴けないという状況では自然と期待値も上がるというもの。しかし結論から書けば、今作はその期待値に答えてくれるものではない。

Akufen の音を特徴付けているものとして、様々な素材を細切れにして再構築されたサンプリングの妙味、というのが一番に思いつく人が多いのだろうけれど、それ以外にもそのサンプルによって紡がれたメロディのセンスや、スカスカなのに跳ねたグルーヴを生み出すビート・メイクであったり、基本的な作曲家としてのレベルが高い人、というのが私の中での Marc Leclair の評価でありまして。

そんな人間からすると、今作の1曲目 “Dollhouse” なんかは、跳ねた電子音とベースがかつてのカットアップ・ファンクの面影を感じさせるものの、以前のものに比べるとメロディ、リズム共に平板に思える。10分という長尺ながら、親しみやすい音色の上モノや、ストリングスっぽいシンセなどを用い、ポップでありながらも弛緩させず聴かせるところなんかはさすがで、普通のテック・ハウスとして聴けば十分な完成度なんだけど、 Akufen の作品としては物足りない。

逆に2曲目の “Honeymoon in Viagra Falls” は、ブラスやギターなど以前なら思いっきりファンキーに仕上げそうなネタを使いながらも、流麗なシンセを前面に出す事によって爽やかなテック・ハウスに仕上げていて新味があるものの、イマイチ強烈な個性に欠けるのは1曲目と同様。

“Mambo No 5” ネタの “Planète Risquée” は、モロ使い過ぎて何ともいえん。

とまぁ辛口な事ばかり書いてしまいましたが、これも期待の裏返しといいますか、兎にも角にも新作をもっと出してくれ、という感じなんですが、どうなんですかね。以前よりは(多少)活動が活発化しているので期待したいところなんですが・・・。

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BEST of 2002

DJ Mix 1/2 [Mix.Sound.Space]志庵MY WAYDA-PONGthe colored sectionWALKING ON THE LITTLE CLOUDPARK AVENUESQUAREDANCING IN A ROUNDHOUSEEThe Golden Oldiesin time

Fumiya Tanaka / DJ Mix 1/2 [Mix.Sound.Space]
稲葉浩志 / 志庵
Akufen / MY WAY
餓鬼RANGER / DA-PONG
donnie / the colored section
SOUL DESIGNER / WALKING ON THE LITTLE CLOUD
MEXICO / PARK AVENUE
DERRICK L. CARTER / SQUAREDANCING IN A ROUNDHOUSE
FUKUYAMA ENGINEERING GOLDEN OLDIES CLUB BAND / The Golden Oldies
chari chari / in time

この年は、今まで紹介してきた中でも屈指の傑作揃いの年でしたね。今見てもいい並びだなぁと思います。 DERRICK CARTER またアルバム出さないかなぁ。

LES GEORGES LENINGRAD / SUPA DOOPA (AKUFEN’s Soutien-Georges Remix) (musique risquee)12″

SUPA DOOPA (AKUFEN's Soutien-Georges Remix)
http://www.musique-risquee.com/

いつの間にやらオフィシャル・サイトが出来ていたり、今度出る GUILLAUME & THE COUTU DUMONTS のシングルでは、 HORROR INC. 名義でリミックスやっていたりと、やっとスランプ脱出か、って感じの Akufen なんですが、これは LES GEORGES LENINGRAD というバンドの曲を Akufen がリミックスしたもの。なんでも2005年に1000枚限定で発表されていたものを、自身のレーベルでライセンスして再発したんだそうで。何で今このタイミングで、というのは思うんだけど、それは復活の助走として、という風に当然期待してしまうわけですが、そんなのと関係なく出来は良い。

まぁ中身はいつも通りのカットアップ・ファンクではあるんだけれども、 Force.inc なんかから出していた頃に比べると、音の動き自体はそれ程激しくないのに、それでもきっちりとファンキーなグルーヴを作り上げていて、やはりこの人のビート・メイキングは流石。それにこの人の作る音は楽しいしね。

あとはもうね、復活してくれれば何も文句ないんだけど、どうですかねぇ。気長に待ちましょう。

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JOKE / BACKROOM (JOKE)12″

BACKROOM

WordPress の 2.5 がリリースされたんで、早速ヴァージョンアップしてみたんだけど、ちょっと早まったかなぁ。今回管理画面のインターフェイスが大幅に変わってるんだけど、以前のような各プラグインの設定をするメニューが見当たらないのよね。これはプラグインが 2.5 に対応する事によって変わるのかしら。まぁしばらく使ってみるしかないか。

Akufen の活躍によって一時期頻繁に耳にしたカット・アップ・ファンクなんですが、その Akufen がすっかり隠居状態になってしまったせいか、今ではあまり聴かなくなってしまいましたが、このベルリンの謎のレーベルからの1枚は、その時期の匂いを僅かながらも感じさせてくれるテック・ミニマル。どっしりとしていながらも軽快さを失わないビートの上で、細切れにされたサンプルが散りばめられているんだけど、それを大袈裟に組み立てることなく、うっすらと、しかし効果的に積み重ねる事によって、絶妙なグルーヴを作り出している。さらに後半、オリエンタルなメロディが加わったときの、ほんの少しの違和感がいいアクセントになっていて、なかなかに完成度が高い。
裏の方は不気味なナレーションや叫び声のサンプリングが使われていて、表が Akufen なら裏は Horror Inc. といった感じの曲。でもパーカッシブなビートが非常に気持ちよく、こちらも素晴らしい出来。これは1枚だけで終わらずに、ちゃんと続き出してほしいレーベルです。

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THE MOLE/IN MY SONG(WAGON REPAIR)12″

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http://www.wagonrepair.ca/

今最も注目すべきレーベルの一つである wagon repair 。前から好きでちょこちょこ買ってはいたんだけど、なんか枚数も集まってきたんで、だったら全部集めようと思いゆるりと買い集めてます。でもその時ジャケットに注意が必要で、まぁ他のレーベルもそうなんだけどプレス重ねるとジャケが簡易版になっちゃうんですよね。このレーベルに関しては独特のアートワークも魅力なのでそこはこだわりたいところ。実際レコ屋で買うときはいいんだけど、ネット・ショップだとジャケに関しては特に何も書いてないところもあるので注意が必要です。

でもって最近のこのレーベルの中でもお気に入りなのがこれ。
この The Mole という人は Akufen のレーベル Musique Risquee からのシングル『Meets Te Bacon Smugglers』で注目を集めた人で、その後も RevolverMutek からもリリースしていて、まぁつまりはカナダの人です。

このレーベルが土着的なサイケデリアを追求しているというのは前書いたけど、これも生っぽいドラムとうねるベースの作り出す濃密なグルーヴの上に、ホーンともギターともとれるよな音色の奏でる裏ノリが絡み合う、実に怪しい曲。わりとサウンドの積み上げ方なんかは一時期の dB なんかに近い気がするんだけど、こちらの方が数倍ファンキー。ちょっとサウンド的に異質なんで、普段テクノ聴いてる人よりもディスコ・ダブとか好きな人のほうが気に入るかも。B面の方もスペイシーなディスコ・ダブって感じだし。

だからもっとクロスオーヴァーなヒットとかしてもいいと思うんだけど、今んとこそんな感じは全然ないなぁ。やっぱ私のセンスが変なのかしら。

視聴→CISCO
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mike shannon/possible conclusions to stories that never end(~scape)CD

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http://www.scape-music.com/

現時点において、ミニマルの中心地がベルリンだというのはまず間違いのないところなのだけれど、個人的にはベルリンの磁場からある程度はなれた動きをしているカナダのアーティストに惹かれてしまいます。
例えば Akufen こと marc leclair は、昨年のアルバム以降(過去記事)、以前のカット・アップ・ファンクからは想像もつかないような静かな世界を描いているし、Mathew Jonson はますますサイケデリックな色合いを増し、DeadbeatPole との関係性を強めますますダブへと傾倒しています。
そして自身のレーベル Cynosure を主催する mike shannon のこのアルバムも、同様に最近のミニマルからは距離を置いた内容になってます。

Force Inc. からの前作『Slight of Hand』はかなりフロアを意識したようなクリック・テクノだったのだけれど、今作はレーベルを意識してかミニマル・ダブっぽい意匠を強くしています。しかし単純にレーベル色に染まったとかいうわけではなく、同時にジャズの色も非常に強く、しかも歌モノの曲が多く配されているというなかなか独特な世界を作り出しています。特に4曲でヴォーカルをとる Anais という女性のソウルフルな歌唱が白眉なのだけれど、それを包み込むような音作りもまた素晴らしい。しかも終始穏やかな世界を描きながらも緊張感が損なわれる事はなく、そのストーリー性のある流れと相まって、何かを暗示するようなラスト2曲は特に印象的です。
「終わらない物語」の「最後の日」とは?
これからも聴きこんで読み解きたい気分にさせるアルバムです。
[Tracklist]

PHILIPPE CAM/SOMEWHERE BETWEEN HERE AND THERE(RISQUEE)12″

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http://www.musique-risquee.com/

相変わらず微妙に古いシングルを。

以前は Traum KOMPAKT から作品を出していたんだけど、最近はすっかり名前の聞かなくなっていた PHILIPPE CAM の新作が、Akufen のレーベル musique risquee から。

この人が寡作なせいなのか、私は今まできちんと作品を聴いたことがなかったのだけれど、アンビエントっぽいビートレスなトラックを作る人みたいですね。
それは今作でも同様なんだけど、面白いのはビートはなくともきちんとグルーヴは保持してるんですよね。
オルガンに近い音色のシンセがワルツを踊っているような”UN SALON DANS LE CIEL”、テック・ハウスの上モノだけを抜き取ったような疾走感を持った”SOMEWHERE BETWEEN HERE AND THERE”、共にキックさえ加えればそのままダンス・トラックになりそうな仕上がりで、そこら辺がDJからの支持の高い理由なんでしょう。

そして原曲の質感はそのままに、それぞれダブとハウスに変えてみせた DEADBEAT と AKUFEN のリミックスも素晴らしく、このレーベルのリリースの中でも出色の出来なのではないでしょうか。
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Akufen live @ Fuse Detroit 28-05-2005

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先ごろ行われたFuse(DEMF)でのアクフェンの音源。最初ライヴ音源かと思ったんだけど、残念ながらDJセット。この人のライヴ音源って全然聴いたことないんだけど、あんまりライヴやらない人なんですかね。何年か前のミルプラトー・ナイトの時はかなり退屈でしたが。
で、音の方は以前紹介した『FABRIC』に比べるとずっとハウスより。でもディスコっぽかったり、ハードになったりと起伏があるので結構楽しめます。
しかし場所を考えてなのか、序盤の方で”Hi-Tech Jazz”が流れてきたのはちょっと笑った。

marc leclair/musique pour 3 femmes enceintes (mutek) CD


http://www.mutek.ca/

数年前から出る出るといわれていたアクフェンの本名名義での作品がようやく到着。以前から言われていたようにいつものカット・アップ・ファンクではなくノン・ビート主体の物。アクフェンのノン・ビートといえば、以前ミル・プラトー・ナイトで来日した時にノン・ビート主体のライヴを披露していたんだけれども、それが私にはえらく退屈だったので正直今作も聴く前はちょっと不安だったんですよね。でもこのアルバムを聴けば彼がカット・アップという手法にたよった一発屋ではなく、きちんと音楽的才能のあるアーティストだということが分かる素晴らしいアルバムだったので一安心。
とはいっても今作ではカット・アップが使われてないのかというとそんな事も無く、サンプルをより細かく切り刻んだ感じで使われてます。そして音の粒子のようになったサンプルを包み込むようなオーケストレーションが素晴らしすぎ。以前から何度か書いてるけど、この人のメロディ・センスは本当に非凡なものだと感じます。それにノン・ビートとはいっても音圧は結構あるのも嬉しいところです。そして緊張感のある序盤から、どんどん穏やかに、かつ美しくなっていく構成も見事。個人的には『My Way』より好きかも、なんて思わせてくれる傑作です。

あと『remix』に曲タイトルは心拍数を表してる、って書いてあるんだけど、タイトルの数字は出産までの日数じゃないかと思うのは私だけでしょうか。最終曲が236だから8ヶ月くらいでしょ?その後の274だとしても9ヶ月だから丁度そのくらいだと思うんだけどなぁ。

Richie Hawtin / Forcept 1 Reinterpretation By Akufen (minus)12″

fr01.jpg
http://www.m-nus.com/

もいっちょアクフェン。
リッチー和尚の『Concept』シリーズをアクフェンがリメイクしたという話題盤。なんだけどなんだけど、これがもう超かっちょいいんですわ。
リーーチー・ホウティンの『Concept』シリーズって聴いた事無いんだけど、確かにリッチー・ホウティンを彷彿とさせるドープさは残っているものの、これはアクフェンのオリジナルと考えて問題ないかと。とにかく音がスカスカ。ディレイのかかった残響音とカット・アップしたフレーズを織り交ぜながらもかなり地味。そしてまるで水泡が破裂しているかのようなキックがポコポコと鳴ってるだけなんだけど、これが不思議とグルーヴィーなんですね。やはりこの人のビート・メイクが巧みだと思います。私のようにバック・グラウンドからの『DADA EP』やアルゴリズムの”delgado(akufen rmx)”が好きな人は超マスト。

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