Chage and Aska 、というと以前のインタビューで非常に印象に残っている発言がありまして。あれはたしか『Super Best Ⅱ』発売のときのタイミングで、彼らの過去作を自身が解説していくという趣旨のものだったと記憶してます。それで彼らのデビュー作の『風舞』の1曲目 “追想” は瀬尾一三作曲のインストなんだけど、それを指して Aska は「自分たちのデビュー作の1曲目を自分たちの曲で飾れなかったのは屈辱だった」みたいなことを言ってたわけですよ。普通ぽっと出の新人が大先生に曲書いてもらったら適当に「光栄です」とか言いそうなもんなんだけど、ずいぶん気骨のある人だと思ったものでした。
まぁこの発言はちょっと極端な例としても、私にとっては Chage and Aska は頑固な音楽職人というイメージが強いんだけど、それが甘いメロディや大仰なアレンジに隠されて、世間にイマイチ伝わってない感じがするのも事実。
しかし今作はずいぶん変わった。と書くとものすごく硬派な音楽性になったのかと思われるかもしれないけど、逆にかなりユルイ。なんたって1曲目のタイトルが “パパラッチはどっち” ですよ。これが南国風味のユルユルポップス。しかし次の “Wasting Time” が重厚なハード・ロックできりりと締める。それ以降もゆったりとした曲が中心ながらも、要所要所で引き締まった曲を挟む絶妙なバランスをみせる。しかもユルイユルイといっても最近の若造のようなただダラダラしたようなものではもちろんなくて、キャリアに裏打ちされた余裕からくるゆとりが感じられる大人のポップスになっている。
しかし今作は曲が素晴らしく良くて、特に Chage 。いつもだとアルバムの自身作曲の割合が Aska が7で Chage が3という感じだったのが、今作ではちょうど半々になってるんだけど、それも納得の良曲揃い。
前述したように今作を聴いただけで彼らの硬派な姿勢が伝わるかは分からないけど、一貫して高い音楽性を求めていたからこそ、今作のように余裕と完成度を両立出来たわけで、彼らの25年以上になる歴史に恥じない名作。
実はチャゲアスはかなり好きです。といっても、94年までなんですが。
何気なく彼らのHPを見てびびったのですが、全曲試聴できるんですね。すごいなあ。
ここまでやってるのって、テクノの人でもそれほどいないんじゃないだろうか。
僕も彼らはかなり勤勉な音楽職人だと思ってて、メロディセンスがもっと海外っぽかったら、山達みたいな扱いになってたんじゃないかなあとも思います。
たしか、くるりの人だったと思うんだけど、コード進行のすごい曲の例で、チャゲアスのクルミを割れた日をあげてたことがありました。
実は私も熱心に聴いていたのって『Red Hill』あたりまでなんですが、久しぶりに聴いてみたらあまりに良いのでびっくりしてしまった次第です。
メロディが海外寄り、っていうことでいえば、そういえばこの人たちって一時期海外進出みたいなことしてましたよね(アンプラグド出たり)。あれは結局どうなっちゃったんですかね。
宇多田ヒカルや平井賢が日本版のアンプラグド出て話題になったときは、チャゲアスはイギリス版のアンプラグド出たんじゃぁ、とむやみに悔しい思いをしたものなのですが。