WIGHNOMY BROTHERS / Guppipeitsche (Freude-am-Tanzen)12″

WIGHNOMY BROTHERS / Guppipeitsche
http://www.freude-am-tanzen.com/

TM NETWORK 再始動ですか。
個人的には前作『NETWORK -Easy Listening-』って彼ら自身が奏でる TM NETWORK の葬送曲だったと位置付けているので、あのまま終わってくれた方が美しかったと思うのですよ。っていうかあれで終わりじゃなかったんなら、あのトリビュートはなんだったんだろう。まぁいいや。

昨年末あたりから好調なリリース・ペースを保つ Robag Wruhme 及び Wighnomy Brothers 。双方最近の傾向としてどんどんジャズ的な要素を強めておりますが、今作はその際たるものという感じ。
今作は両面とも上モノにピアノを使った曲が収録されているんだけど、タイトル曲の方はリズミカルなピアノを中心に、リズムもウッド・ベースとジャズ・ドラムが使われていて、フォーマットは四つ打ちながら、ジャズの音で構成したクリック・ハウスといった趣。
一方裏の “My gloomy head” は、シャープなキックの上に物悲しいピアノのメロディが鳴るクリック・ハウスで、そのピアノから十分ジャズの香りは漂うものの、彼ららしい音響構築により正に Wighnomy Brothers としかいえない曲に仕上がっていて、その対比が面白い。
彼らのこういうシングルも1作品として聴けるような作りには非常に好感が持てます。だからオリジナル・アルバムの方もそろそろ聴きたいなぁ。

Wighnomy Brothers - Guppipeitsche - EP
[Tracklist]

Mika Vainio / IKUINEN (SAHKO)12″

Mika Vainio / IKUINEN
http://www.sahkorecordings.com/

加藤和樹」って知ってますか?
最近街中でこう書いてあるトラックをよく見かけるんだけど、今日川崎行ったらその加藤和樹さんのミニ・ライヴがラゾーナでやってまして。
それがねぇ、なんかもうすごかった。彼が世間で一体どれほど認知されているのかは知らないけど、結構な大きさの広場を埋め尽くす婦女子が一糸乱れぬ感じで手を振っててさ。よくロック系の人が、ああやってみんなで同じ動きするのが気持ち悪い、みたいな事を言ったりしますが、実際見ると圧巻ですね。それをステージの上から見ているミュージシャンはさぞかし気持ちよかろう。
まぁその代わり歌は全く印象に残ってないんですけどね。

そんな加藤和樹さんとは欠片も接点がないと思われる Mika Vainio の新作。彼は先頃 Ilpo Vaisanen とのユニット Pan Sonic でもアルバムを出したばかりだけど、今作はソロでは2年ぶり。

まず音が鳴った瞬間に圧倒的な音響構築にハッとさせられるんだけど、そんな鋭い音響空間の中をなぜかベースだけがぬめり気をもって蠢いていて、それは Mika Vainio 流のダブ・ステップとも思えなくもないサウンドではあるのだけれど、でもやはりこれはかなり異形なミニマル・トラック。でも B サイドにいくにしたがって、徐々にノイズまみれになったかと思うと、終盤でノイズともメロディともつかない美しいアンビエンスに包み込まれて終わるので、それほど難解な感じはしない。
結構クセになるサウンドです。

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SUBSTANCE & VAINQUEUR / REMIXES CHAPTER 1 (SCION VERSIONS)12″

SUBSTANCE & VAINQUEUR / REMIXES CHAPTER 1
http://www.scionversions.de/

ベーチャン一派の Substance と Vainqueur 、つまり Scion が立ち上げた新たに立ち上げたレーベルの3枚目はリミックス盤。

原曲のほうは持ってないんだけど、視聴した感じだといつものミニマル・ダブ。しかしリミキサーが、SurgeonRegis のユニット British Murder Boys に Sleeparchive というのは分かってるなぁ、という感じ。

British Murder Boys の二人はハード・ミニマルが衰退した今でも信頼に足る数少ないアーティストだと思うんだけど、今作でもまるでダブ・ステップを早回ししたかのような変則的なハード・ミニマルにリミックスしていて圧巻。
もう一つのリミックスの方も、原曲のダブ感など振り払うかのようなハード・ミニマルで、こちらもかっこいい。
そして sleeparchive はダビーな音響空間を生かしながらも、リズムを sleeparchive らしいディープ・ミニマルに置き換えていて、しかし結果的に初期 Basic Channel に近いものになっているのも面白い。

こういうの聴くと、やっぱりハード・ミニマルっていいなぁ、と思ってしまう単純な私です。

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[Tracklist]

sleeparchive / papercup (sleeparchive)12″

sleeparchive / papercup
http://www.sleeparchive.de/

sleeparchive のサイトに書いてあったんだけど、どうやら8月に初のCDアルバムが出るようですね。
sleeparchive というのは Roger Semsroth によるユニットで、デビュー時はずいぶん謎めいた人だったんだけど、 Richie Hawtin の『DE9|TRANSITIONS』(関連記事)て曲が使用されて以降急速に注目度が高まり、現在2回ほど来日もしています。
彼は以前より Pan SonicMika Vainio からの影響を公言していたけれど、視聴した限り今度のアルバムはそういった要素を前面に出した実験的なエレクトロニクス作なようです。いずれにしても超楽しみ。

ということで Sleeparchive の現在のところの最新シングル(通算7作目)。

初期はディープなアシッド・ミニマルが多かった sleeparchive なんですが、 Modeselektor の『Hello Mom! Remixes』に参加して以降、どんどんハードになっておりますが、今作はディープ・ミニマルとハード・ミニマルが見事なバランスで融合した決定打。

まず “papercup” 。ダビーな音響の中、強烈なキックだけで曲を引っ張っていく前半も素晴らしいのだけれど、ベースやノイズなど様々な要素が足されては変容していく後半の、分厚いグルーヴがもう最高。9分という長さを全く感じさせません。
一方 “MRI scanner” の方は、今度のアルバムを予告するかのようなミニマル・エレクトロニクス。地鳴りのように鳴る連打されるキックとパルス音のみで構成されていて、しかしざらついた太い音作りは sleeparchive そのもので、それほど違和感なく楽しめる。
sleeparchive って最新作が最高作というのを更新し続けているアーティストだと思ってるんだけど、今作も間違いなく最高傑作。あぁ~、早くアルバム聴きたい。

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[Tracklist]