B’z/MONSTER(VERMILLION)CD

B'z/MONSTER
http://bz-vermillion.com/

昨年のアルバム『The Circle』は個人的には『SURVIVE』と並ぶ最高傑作の1つだと思ってるんだけど、あのアルバムの一番の魅力といえば、結成して15年も経つユニットとは思えないほど、全編若々しい勢いに満ちていたことでした。そしてその後のシングル『衝動』も同路線だったので、しばらくこの感じでいくのかと思っていたんだけど、やっぱりあの勢いというのは多少無理したことがあったのか、それともあのアルバムでやりきった感があったのか、いずれにしても今作は明確に変化を求めたアルバムになっています。

で、ここでちょっと話がずれるんだけど、昨年のベスト・アルバム『Pleasure II』を聴いたときに思ったのは、やっぱり B’z も売り上げ的に辛いんだなぁ、ということでした。それは前のベストほど売れなかったという話ではなくて、あのアルバムは妙にバラードが多いんですよね。まぁバラード=売れ線というのも単純すぎるのかもしれないけど。

そういった状況でアーティストが変化を求めるというのはごく自然なことだと思うんだけど、このアルバムはそこに明確な回答を示したというよりは、未だ試行錯誤の段階であることを伺えます。つまりは様々なアレンジの曲が収録されていて、レゲエっぽい “恋のサマーセッション” なんかはなかなかに印象的。でも面白いのは以前のようなデジタル・ビートは一切使っていないところで、結成当初のコンセプトであった「機会と人間の融合」にはもう興味がないのがよく分かる。(また蛇足なんだけど、松本 孝弘が作曲した KAT-TUN の『REAL FACE』のオリジナルが、昔の B’z がやってもおかしくないようなアレンジだったのに対して、松本 孝弘によるリ・アレンジ・ヴァージョンはもろにハード・ロックだったのもそのことを表してる気がする)

そうやって様々なアレンジで B’z の多面性を映し出した結果はどうなのかというと、どんな曲をやっても良くも悪くも B’z 流のロックになってしまうとゆうか、ちょっとアレンジ変えたくらいじゃ新鮮味がないんですよね。だからファンとしては悪くないけど、それ以上を求めるとどうなんだろうという気がします。
その中でも異色な曲が “明日また陽が昇るなら” 。なんかここ何作かの B’z って、必ず『IN THE LIFE』『RUN』の時期の彼らを思わせる甘酸っぱいメロディの曲を入れてくるんだけど、これはどういう意図なんですかね。
とにかく私は後ろ向きといわれようと、この曲聴くと泣きそうになります。

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V.A./TSUNAMI RELIEF(TSUNAMI RELIEF)CD

V.A./TSUNAMI RELIEF

ちょっと前のアルバムなんだけど、2004年のスマトラ沖地震のチャリティ・アルバム。因みに主催は Jay Haze 。彼は自身のアルバムのタイトルを『Love for a Strange World』
(過去記事)としてみたり、最近出た Fuckpony 名義でのアルバムも『Children Of Love』だったりと社会意識の強い人みたいですね。

そして参加メンバーは、活動が多岐にわたる Jay Haze が声をかけただけあっって、クリック/ミニマル周辺の主要アーティストが勢揃いといった感じになっています。

しかしその参加メンバーからくる期待に比べると作品としてイマイチというか、全体的な完成度は高いんだけど、どうも抜きん出たトラックがないんですよね。

その中でも目玉は和尚による久々の F.u.s.e. 名義での曲なんだろうけど、これはぼんやりしたアンビエントでイマイチ。
それ以降もいつもより幾分ストレートなRicardo Villalobos Vs Jay Haze や、軽快なミニマル・ハウスな Andre Galluzzi &Guido Schneider 、激パーカッシブなのにやっぱり低血圧ファンクな Luciano 、そして最後にふさわしい幻想さを持つ Swayzak と、それなりに面白いトラックもあるんだけど、やっぱり全体としてはどうも印象に残らないんですよね。

それでも各アーティストの色は出ているので、ミニマルに普段馴染みのない人には便利だろうし、ノン・ストップな構成(ミックスはされてない)なので流し聞きにはちょうどいいんだけど。

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