昨年のアルバム『The Circle』は個人的には『SURVIVE』と並ぶ最高傑作の1つだと思ってるんだけど、あのアルバムの一番の魅力といえば、結成して15年も経つユニットとは思えないほど、全編若々しい勢いに満ちていたことでした。そしてその後のシングル『衝動』も同路線だったので、しばらくこの感じでいくのかと思っていたんだけど、やっぱりあの勢いというのは多少無理したことがあったのか、それともあのアルバムでやりきった感があったのか、いずれにしても今作は明確に変化を求めたアルバムになっています。
で、ここでちょっと話がずれるんだけど、昨年のベスト・アルバム『Pleasure II』を聴いたときに思ったのは、やっぱり B’z も売り上げ的に辛いんだなぁ、ということでした。それは前のベストほど売れなかったという話ではなくて、あのアルバムは妙にバラードが多いんですよね。まぁバラード=売れ線というのも単純すぎるのかもしれないけど。
そういった状況でアーティストが変化を求めるというのはごく自然なことだと思うんだけど、このアルバムはそこに明確な回答を示したというよりは、未だ試行錯誤の段階であることを伺えます。つまりは様々なアレンジの曲が収録されていて、レゲエっぽい “恋のサマーセッション” なんかはなかなかに印象的。でも面白いのは以前のようなデジタル・ビートは一切使っていないところで、結成当初のコンセプトであった「機会と人間の融合」にはもう興味がないのがよく分かる。(また蛇足なんだけど、松本 孝弘が作曲した KAT-TUN の『REAL FACE』のオリジナルが、昔の B’z がやってもおかしくないようなアレンジだったのに対して、松本 孝弘によるリ・アレンジ・ヴァージョンはもろにハード・ロックだったのもそのことを表してる気がする)
そうやって様々なアレンジで B’z の多面性を映し出した結果はどうなのかというと、どんな曲をやっても良くも悪くも B’z 流のロックになってしまうとゆうか、ちょっとアレンジ変えたくらいじゃ新鮮味がないんですよね。だからファンとしては悪くないけど、それ以上を求めるとどうなんだろうという気がします。
その中でも異色な曲が “明日また陽が昇るなら” 。なんかここ何作かの B’z って、必ず『IN THE LIFE』~『RUN』の時期の彼らを思わせる甘酸っぱいメロディの曲を入れてくるんだけど、これはどういう意図なんですかね。
とにかく私は後ろ向きといわれようと、この曲聴くと泣きそうになります。