最近、昔のようなミニマルとエレクトロニカの境がもっと曖昧だった頃の雰囲気に魅力を感じるんだけど、これはそこら辺の匂いを漂わせつつも、同時に新鮮さも感じさせる1枚。
音の方は簡単にいうとダブテック・ハウスなんだけど、多くのダブ系のアーティストが非常にぼやけた音像を作り上げるのと違って、ここではキックをはじめとしたリズムを構成する音のほとんどがハッキリとした輪郭を持っていて、非常にダンサブルでありながらも、またそれを包み込むような上モノとの対比が鮮やかで、普段聴いているようなミニマルとは違った新しさを感じます。
この Narita というレーベルは Merck の4つ打ち専門のサブレーベルなんだけど、その為か使われている音がどちらかといえばテクノよりもエレクトロニカに近い感触のものが多く、そこが新鮮に感じる理由なのかもしれないけど、音響的な快楽度はかなりのもの。それでいてこの作品は Narita から出した12インチの曲を中心にしていることからも分かるように非常にフロア・ユースで、ここまで音響的快楽とダンス的快楽を両立させた作品も少ないのではないでしょうか。