少し前に、ものすごく久しぶりに RADIOHEAD の『『OK COMPUTER』を聴いたんだけど、その時思ったのは、私が『KID A』以降の彼らに積極的な興味がもてないのは、もしかしたらサウンド云々の話ではなく、単純に曲の良し悪しの問題なのかなぁ、と。
そういった意味ではこのアルバムの方向性は歓迎といえるものでしょうか。
このアルバムのアイデアというのは、元々具体的な発表などを意識せずに録り貯めていたものらしいけど、だからだろうか、バンドにあるような緊張感が薄く、どこかリラックスした雰囲気を感じさせます。そしてサウンドはエレクトロニカに近い物ながらも、あくまで歌が中心にすえられていて、ものすごくシンガー・ソング・ラーター的なアルバムになってます。
それでもさすがに明るいとは形容しがたい物ながらも、肩の力の抜けた雰囲気と、時折ポップさも顔を出すメロディが、ついつい暗い方向に行きがちな Thom Yorke を、ギリギリのところで留めているようで、その揺らめくようなせめぎあいがとても刺激的。
バックのサウンドも、彼のような指向の人が一人で作ればこうなるのは自然な事に思えるし、エレクトロニカ的な音響構築ではなく、あくまで歌に寄り添うような作りになっているのも功を奏しています。
もしかしたら RADIOHEAD 関連では、個人的には一番長く聴けるアルバムかも。